腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術 保険収載？

腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術：保険適用はどこまで？患者が知っておくべきポイント

膵頭十二指腸切除術（PD）は、膵臓頭部、十二指腸、胆嚢、胆管の一部を切除する、非常に複雑な手術です。近年、患者への負担を軽減するため、腹腔鏡下、あるいはロボット支援下でのPD（以下、腹腔鏡下PD）が行われるようになってきました。気になるのは、この腹腔鏡下PDの保険適用範囲です。2023年現在、腹腔鏡下PDは条件付きで保険適用されていますが、詳細を理解しておくことは患者にとって非常に重要です。

保険適用の変遷と現状

腹腔鏡下PDの保険適用は段階的に進んできました。

• 2016年：「郭清不要な腫瘍」に対する腹腔鏡下PDが、先進医療から保険収載されました。これは、腫瘍が小さく、リンパ節への転移の可能性が低い場合に限られていました。
• 2020年： 悪性腫瘍（膵癌、十二指腸癌など）に対する腹腔鏡下PD、およびロボット支援下PDが、一定の条件を満たす施設において保険収載されました。これは、大きな進歩と言えるでしょう。

保険適用の条件とは？

2020年の保険収載により、悪性腫瘍も腹腔鏡下PDの対象となりましたが、いくつかの条件があります。

1. 施設基準: 腹腔鏡下PDを行うには、高度な技術と経験を持つ医師、十分な設備を備えた医療機関であることが求められます。具体的には、外科手術の経験や、腹腔鏡手術の経験など、細かな基準が定められています。日本内視鏡外科学会の技術認定医がいる施設や、高難度腹腔鏡手術の実施施設であることが望ましいでしょう。
2. 腫瘍の種類と進行度: 腫瘍の種類（膵癌、十二指腸癌、胆管癌など）や、その進行度によって、腹腔鏡下PDが適応となるかどうかが判断されます。進行度が進んでいる場合や、周囲の血管への浸潤が疑われる場合は、開腹手術が選択されることもあります。
3. 患者の状態: 全身状態、年齢、合併症の有無なども考慮されます。腹腔鏡下手術は、開腹手術に比べて体への負担が少ないとされますが、患者の状態によってはリスクが高まる場合もあります。

患者が確認すべきこと

腹腔鏡下PDを検討する際には、以下の点を確認することが重要です。

• 担当医への確認: 自身の病状（腫瘍の種類、進行度など）が、腹腔鏡下PDの保険適用範囲内であるか、担当医に詳しく確認しましょう。
• 施設情報の確認: 手術を行う医療機関が、腹腔鏡下PDの実施施設として認定されているか、経験豊富な医師が在籍しているかを確認しましょう。医療機関のウェブサイトや、日本内視鏡外科学会の情報などを参考にできます。
• 費用に関する確認: 保険適用となる場合でも、自己負担額が発生します。手術費用、入院費用、検査費用など、費用の概算を担当医や医療機関に確認しましょう。

まとめ

腹腔鏡下PDは、患者への負担軽減が期待できる手術方法ですが、保険適用は条件付きです。自身の病状、医療機関の状況、費用などを総合的に考慮し、担当医と十分に相談した上で、最適な治療法を選択することが重要です。セカンドオピニオンを求めることも有効な手段です。