10対0のもらい事故でも新車で返ってくる?

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10対0の事故でも、新車と全く同じ状態での返還は保証されません。賠償金は、事故車の時価と売却額の差額を上限に算出されます。過失割合が0%でも、新車購入費用全額の支給は期待できず、減価償却分や修理費用の相殺が考慮されるため、実際の手取り額は減額されます。 新車購入費用を全額補償する保証はない点を理解しておきましょう。

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10対0のもらい事故。新車は本当に「元通り」になるのか?知っておくべき賠償のリアル

「停車中に追突された!10対0のもらい事故だ!新車だったのに…全額弁償してもらえるんですよね?」

事故に遭われた方なら、まずそう思うのは当然です。しかし、残念ながら、10対0のもらい事故だからといって、必ずしも「新車と全く同じ状態」で返ってくるわけではありません。インターネット上には、10対0だから安心、全額補償される、といった情報が溢れていますが、現実は少し複雑です。

今回は、10対0のもらい事故における賠償のリアルについて、具体的な事例を交えながら解説します。

賠償の原則:時価主義

まず大前提として、日本の損害賠償制度は「時価主義」に基づいています。これは、事故によって損害を受けた車の「事故当時の時価」を基準に賠償額が算出されるということです。新車で購入した車であっても、年式や走行距離に応じて価値は下がります。この価値の減少分が「減価償却」として考慮されるため、新車価格そのものが賠償されるわけではありません。

賠償額の計算:具体的な内訳

賠償額は、以下の要素を総合的に勘案して決定されます。

  1. 事故車の時価: これは、事故直前の車の市場価値です。年式、走行距離、車の状態などによって査定されます。
  2. 事故車の売却額: 事故車を廃車にする場合、廃車業者などに買い取ってもらうことができます。この売却額は、時価から差し引かれます。
  3. 修理費用: 車の修理が可能であれば、修理費用が見積もられます。ただし、修理費用が時価を上回る場合(経済的全損)、修理ではなく買い替えという判断になることがあります。
  4. 買い替え諸費用: 新車への買い替えが必要になった場合、登録費用、自動車取得税などの諸費用も賠償対象となることがあります。ただし、これは保険会社との交渉次第であり、全額補償されるとは限りません。
  5. 評価損: 修理によって車の機能が回復しても、事故歴があることによって車の価値が下がる場合があります。この価値の低下分を「評価損」として請求できる可能性があります。

事例で考える賠償額

例えば、購入から1年、走行距離1万kmの新車(時価200万円)が、10対0のもらい事故で全損になったとします。廃車買取業者が20万円で買い取ってくれた場合、賠償額は以下のように計算されます。

  • 時価:200万円
  • 売却額:20万円
  • 賠償額:200万円 – 20万円 = 180万円

この180万円に加えて、買い替え諸費用や評価損を請求できる可能性がありますが、保険会社との交渉が必要になります。

重要なポイント:新車特約

加入している自動車保険に「新車特約」が付帯していれば、新車購入から一定期間内(通常は1~3年)であれば、新車価格相当額が補償される場合があります。しかし、この特約にも免責事項や上限額が設定されていることがあるため、事前に約款を確認することが重要です。

泣き寝入りしないために:できること

  • 保険会社との交渉: 保険会社の提示額が必ずしも適正とは限りません。弁護士に相談するなどして、適切な賠償額を交渉しましょう。
  • 評価損の証明: 事故車の評価損を専門業者に査定してもらい、客観的な証拠を提示しましょう。
  • 新車特約の確認: 加入している自動車保険に新車特約が付帯しているか、内容をよく確認しましょう。

まとめ

10対0のもらい事故でも、新車が「元通り」になるとは限りません。賠償額は、事故車の時価を基準に算出され、減価償却などが考慮されます。加入している自動車保険の内容や、事故状況によって賠償額は大きく変動するため、安易に保険会社の提示額を鵜呑みにせず、専門家への相談も検討しましょう。

この情報が、事故に遭われた方にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。