10対0事故の示談金交渉は?

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10対0の過失割合の事故では、被害者は示談金交渉で損害全額を請求できます。ただし、被害者側の保険会社は交渉に関与できず、被害者は加害者側の保険会社と直接交渉する必要があります。

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10対0事故の示談金交渉:全額請求への道のり、そしてその落とし穴

10対0の過失割合が認定された交通事故。加害者の全責任が明確であるため、被害者は損害の全額を請求できる、と考えるのは自然なことです。しかし、現実の示談金交渉は、そう単純ではありません。法律上の権利と現実の交渉のギャップ、そして落とし穴を理解することは、被害者にとって非常に重要です。

まず、ご指摘の通り、被害者側は加害者側の保険会社と直接交渉することになります。被害者側の保険会社は、あくまで「自賠責保険」や「任意保険」の支払いを処理する立場であり、10対0事故においては、直接交渉に介入することは通常ありません。これは、加害者側の保険会社が、自社の保険金支払いを最小限に抑えようとする傾向があるため、交渉の過程で専門的な知識と強い交渉力を持つことが被害者にとって有利に働くからです。

では、具体的にどのような損害を請求できるのでしょうか? 大きく分けて、以下の項目が挙げられます。

  • 治療費: 過去の治療費はもちろん、将来にわたる治療費の見込みも請求できます。医師の診断書や領収書などの証拠は必須です。後遺障害が残る場合は、その治療費も長期にわたって請求できる可能性があります。
  • 休業損害: 事故による怪我で仕事に就けなかった期間の収入減少分を請求できます。給与明細や源泉徴収票などの証拠が必要です。自営業者の場合は、収入証明が難しくなるため、綿密な証拠集めが求められます。
  • 慰謝料: 肉体的苦痛や精神的苦痛に対する慰謝料です。これは、事故の状況、怪我の程度、後遺障害の有無、治療期間などを考慮して算出されます。裁判例を参考に、適正な金額を請求する必要があります。
  • 交通費: 通院や治療のための交通費も請求できます。領収書などの証拠が必要です。
  • 介護費用: 事故後、介護が必要になった場合は、その費用も請求できます。
  • その他: 破損した車両の修理費用や、代替車の費用なども請求対象となります。

しかし、これらの損害を「全額」請求すると言っても、加害者側が提示する金額は、必ずしも請求額通りとは限りません。加害者側の保険会社は、様々な理由で減額を提案してくる可能性があります。例えば、治療期間の短縮、慰謝料の低額算定、休業損害の不認定などです。

そこで、スムーズな交渉、そして納得のいく示談成立のためには、以下の点を注意する必要があります。

  • 専門家への相談: 弁護士や専門の相談窓口に相談することで、適切な損害額の算定や交渉戦略の立案を支援してもらうことができます。特に複雑なケースや高額な損害請求の場合、専門家の助けは不可欠です。
  • 証拠の徹底的な収集: 診断書、領収書、写真、事故状況報告書など、全ての証拠を確実に集めておくことが重要です。
  • 交渉記録の残存: 交渉内容を記録に残しておくことは、後々のトラブルを防ぐために重要です。
  • 冷静な対応: 感情的な対応は交渉を不利にする可能性があります。冷静に、事実を基に主張することが重要です。

10対0事故であっても、示談金交渉は容易ではありません。適切な知識と準備、そして必要に応じて専門家の力を借りながら、しっかりと対応していくことが、被害者の権利を守る上で非常に重要なのです。 決して安易な妥協はせず、納得のいく解決を目指しましょう。