お見合い結婚の離婚率は？

日本の婚姻における離婚率は、近年増加傾向にあり、社会問題として注目されています。その中で、恋愛結婚と比較したお見合い結婚の離婚率は、しばしば「低い」と主張されます。しかし、この「低い」という表現の裏には、複雑な事情と、明確な統計データの不足が潜んでいます。単に数字の比較だけでは、真実を捉えきれないのです。

一般的に言われている、恋愛結婚の離婚率は約40%、お見合い結婚の離婚率は約10%という数値は、あくまで推計値であり、厳密な調査に基づいたものではありません。 日本の統計データは、結婚の経緯（恋愛結婚かお見合い結婚か）を明確に分類して収集しているわけではないため、正確な比較を行うことが困難なのです。多くの研究は、結婚相談所などのデータや、個人のアンケート調査を基に推計値を出しており、その母集団や調査方法の差異によって結果にばらつきが生じます。 つまり、10%という数値は、あくまで参考値であり、絶対的な数値として受け止めるべきではありません。

では、なぜ「お見合い結婚の離婚率は低い」という通説が生まれたのでしょうか？ いくつかの要因が考えられます。

まず、お見合い結婚は、比較的慎重な結婚準備期間を伴うことが多い点です。 両家の家族が関与し、結婚相手の人物像や家庭環境について詳細な情報を共有します。 これは、結婚生活における潜在的な問題点を事前に把握する機会となり、離婚リスクを低減する効果を持つと考えられます。 恋愛結婚では、感情的な側面が優先されがちであるため、現実的な問題点を見過ごしてしまう可能性があります。

次に、お見合い結婚では、結婚に対する意識が比較的高い傾向が見られます。 特に、高齢者や地方在住者など、恋愛結婚が困難な状況にある人々にとって、お見合いは現実的な結婚方法であり、結婚生活を維持しようとする強い意志を持つ人が多いと考えられます。 結婚への覚悟の差が、離婚率の違いに繋がっている可能性も否定できません。

しかし、お見合い結婚だからといって、離婚がないわけではありません。 価値観の不一致、コミュニケーション不足、経済的な問題など、離婚に至る原因は恋愛結婚と共通しています。 むしろ、家族の強い介入や周囲の期待が、問題を隠蔽したり、解決を困難にしたりする可能性もあるのです。 表面上は円満に見える結婚であっても、内面的な葛藤を抱えているケースも少なくありません。

結論として、お見合い結婚の離婚率が恋愛結婚より著しく低いと断言することは、現状のデータでは難しいと言えます。 推計値に基づいた一般的な認識は存在するものの、それはあくまでも一つの見方であり、より正確な分析には、より詳細なデータと、多角的な視点からの研究が必要不可欠です。 お見合い結婚における離婚の背景を深く理解するためには、単なる離婚率の比較だけでなく、結婚に至るまでの過程や、結婚後の生活実態を丁寧に調査することが重要です。 そして、その調査結果に基づいて、より現実的な結婚観を築いていくことが大切なのではないでしょうか。