事実婚をして得することは何ですか？

事実婚、すなわち婚姻届を提出しないままパートナーシップを築くライフスタイルは、近年日本においても増加傾向にあります。法的な婚姻とは異なるため、権利や義務において制限がある一方、独特のメリットも存在します。本稿では、事実婚を選択することで得られる具体的なメリットを、様々な側面から詳細に考察します。

まず、最も大きなメリットとして挙げられるのは、自由度の高さです。婚姻届は、行政手続きを経る必要があり、時間的・精神的な負担を伴います。事実婚であれば、そのような手続きは一切不要です。気軽にパートナーシップを始め、必要に応じて解消することも容易です。特に、結婚に対して慎重な方や、一度失敗した経験を持つ方にとって、この自由度の高さは大きな魅力となるでしょう。また、将来的な離婚を考慮した場合、婚姻届を提出しないことで、複雑な手続きや精神的な負担を避けることができます。離婚には、財産分与や親権問題など、多くの問題が伴いますが、事実婚であれば、これらの問題を大幅に軽減できます。

次に、経済的なメリットも注目すべき点です。結婚すると、税制上の優遇措置を受ける一方で、扶養控除の適用範囲が変わったり、生命保険の受取人指定を変更する必要があったりと、様々な経済的な影響を受けます。事実婚であれば、これらの複雑な手続きを省くことができ、経済的な負担を軽減することができます。特に、共働き世帯や、それぞれのキャリアを重視するカップルにとって、経済的な自由度を維持できるという点は大きなメリットと言えるでしょう。例えば、個々の貯蓄を維持し、将来の独立した生活を確保したいと考えているカップルにとって、事実婚はより現実的な選択肢となるでしょう。

さらに、プライバシーの保護も事実婚のメリットと言えるでしょう。婚姻関係は、戸籍に記録されるため、プライバシーに関わる情報が第三者に知られる可能性があります。一方、事実婚は戸籍に記録されません。そのため、個人のプライバシーを重視する方にとって、事実婚はより安心できる選択となるでしょう。特に、芸能人や公的な立場にある方など、プライバシーの保護が重要な職業に就いている方にとって、この点は大きなメリットとなります。

しかし、事実婚にはデメリットも存在します。例えば、相続や医療に関する権利が制限される可能性があります。配偶者には認められる相続権や、配偶者の医療に関する決定権が、事実婚のパートナーには必ずしも認められるとは限りません。また、社会的な認知度が低いという点も課題です。事実婚のカップルは、法律上の保護を受けられないケースも多く、社会的な理解やサポートが不足している部分があります。

このように、事実婚はメリットとデメリットの両面を持つ選択です。それぞれの状況や価値観を踏まえ、慎重に検討することが重要です。事実婚を選択するということは、法的な保護を受けない代わりに、より自由で柔軟なパートナーシップを築くことを意味します。 自分の生活スタイルや将来設計に最適な選択かどうか、十分に理解した上で決断することが大切です。 パートナーとしっかり話し合い、それぞれのメリット・デメリットを共有し、将来を見据えた上で、最良の選択を行うことが求められます。 そして、事実婚を選択したとしても、公正証書などで財産分与や親権などの合意事項を明確にしておくことが、後々のトラブルを防ぐために重要になります。