日本人の何割が結婚していますか？

少子高齢化と晩婚化：日本の結婚率低下の深層

日本の婚姻率は近年、着実に低下を続けている。令和5年における婚姻率3.9という数字は、その傾向を如実に示すものであり、社会構造や価値観の大きな変化を反映していると言えるだろう。単に数字の減少という事実だけでなく、その背景にある複雑な要因を理解することが、日本の未来を考える上で極めて重要となる。

まず、結婚件数の減少は、単に結婚する人が減ったというだけでなく、結婚年齢の高齢化、つまり晩婚化が大きく影響している。経済的な不安定さ、キャリア形成への集中、自己実現への追求など、結婚を後回しにする理由が多様化している。特に女性の場合、高度な教育を受け、専門職に就く人が増加しており、結婚よりもキャリアを優先する傾向が強まっていると言える。これは、経済的自立を可能にする女性の社会進出が、同時に結婚へのハードルを高めているという皮肉な側面も持つ。

さらに、少子高齢化も結婚率低下の大きな要因だ。少子化によって、結婚相手候補の数が減少するだけでなく、結婚後の生活設計にも影響を与える。子育てへの経済的負担、介護問題への不安など、結婚によって抱えるリスクが大きくなっているという認識も、結婚を躊躇する理由となっていると考えられる。

また、現代社会の多様化も無視できない。かつては「結婚」が人生における一つの通過儀礼として社会的に強く求められていたが、現在では、結婚しない選択、あるいはシングルマザー・シングルファーザーとして子供を育てる選択など、多様な生き方が認められ、社会的に浸透しつつある。これは、必ずしも「結婚」が人生の幸福の唯一の道ではないという意識の高まりを反映していると言えるだろう。

一方で、結婚を希望するものの、パートナーが見つからないという現実も無視できない。人口減少による出会いの機会の減少、マッチングアプリなどの利用による関係性の希薄化など、現代社会は、理想のパートナーを見つけることを難しくしている側面もある。

さらに、伝統的な家族観の変化も影響している。家事や育児の分担、共働き世帯の増加に伴い、従来の男女役割分担に縛られない関係を求める人が増え、そうした価値観を共有できるパートナーを見つけにくいという問題も存在する。

日本の婚姻率低下の背景には、経済的不安、キャリアへの意識、少子高齢化、社会の多様化、そして出会いの減少など、複雑に絡み合った様々な要因が存在する。この問題に対しては、経済政策による安定した生活基盤の提供、保育・教育支援の充実、ワークライフバランスの推進など、多角的なアプローチが必要となるだろう。

単に婚姻率の数字を上げるだけでなく、個人がより自由に、そして幸せな人生を選択できる社会を構築することが、真の課題と言える。そのためには、結婚という制度への固定観念にとらわれず、多様なライフスタイルを尊重し、個人の幸福を最大化する社会システムの構築を目指していく必要がある。 将来の社会像を展望し、持続可能な社会を実現するためには、この問題への真摯な取り組みが不可欠である。