結婚しても籍を入れないのはどういうこと?

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事実婚とは、法的な婚姻手続きをせずに、夫婦としての実質的な生活を送る関係のことです。婚姻届を提出しないため、法律上の夫婦とは認められませんが、当事者間には結婚の意思があります。法律婚(婚姻届を提出した夫婦関係)とは異なり、戸籍上の繋がりはありません。

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結婚しても籍を入れないという選択:多様化するパートナーシップの形と、その光と影

「結婚」という言葉から、私たちはすぐにウェディングドレスや結婚指輪、そして役所への婚姻届といったイメージを思い浮かべるかもしれません。しかし、現代社会において、「結婚」の形は多様化しており、必ずしも婚姻届を提出することだけが結婚の定義ではなくなってきています。その一つの選択肢が、いわゆる「事実婚」です。

事実婚は、冒頭で定義されている通り、法的な婚姻関係を結ばずに、夫婦としての実質的な生活を送る関係を指します。つまり、二人は互いを人生のパートナーとして認識し、共に生活を営み、経済的にも協力し合う一方で、法的な夫婦としての権利義務は発生しないという状態です。

なぜ、結婚という形を選択しながら、あえて籍を入れないという道を選ぶのでしょうか?その背景には、様々な理由が考えられます。

理由1:姓を変えたくない、キャリアへの影響

特に女性の場合、結婚によって姓が変わることで、長年積み上げてきたキャリアや社会的な信用が失われるのではないかという懸念があります。仕事上で既に確立された地位を、わざわざ変える必要性を感じないというケースも多いでしょう。事実婚であれば、そのような心配をする必要はありません。

理由2:家族制度への抵抗、自由な関係を維持したい

日本の家族制度は、依然として家父長制的な側面を残しており、結婚によって配偶者の家族との関係が密接になることを負担に感じる人もいます。また、自由な関係を維持したいという思いから、あえて法的な拘束を受けない事実婚を選ぶ人もいます。

理由3:同性カップルの権利保障を求める

現在の日本では、同性婚は法的に認められていません。そのため、パートナーシップ制度を利用したり、事実婚を選択することで、少しでも法的な保護を受けようとする同性カップルも存在します。

理由4:国際結婚における複雑な手続き

国際結婚の場合、婚姻手続きが煩雑になることがあります。また、それぞれの国の法律や文化の違いから、婚姻関係を解消する際にトラブルが生じる可能性も考慮して、事実婚を選ぶケースもあります。

事実婚は、自由で柔軟なパートナーシップの形として、注目を集めていますが、メリットばかりではありません。

デメリット1:法的な権利の制限

法律婚と比較して、事実婚には様々な法的な権利の制限があります。例えば、相続権、税金の優遇措置、配偶者控除、医療における家族としての同意権など、法律婚であれば当然に認められる権利が、事実婚では認められない場合があります。

デメリット2:社会的な認知度の低さ

事実婚は、まだ社会的に認知度が低く、周囲からの理解を得られない場合があります。特に、年配の方の中には、事実婚を「内縁関係」と混同し、否定的に捉える人もいます。

デメリット3:子供に関する問題

子供が生まれた場合、親権や養育費などの問題が複雑になることがあります。特に、父親が認知をしない場合、子供は母親の戸籍に入り、父親からの扶養を受けることが難しくなります。

事実婚は、個人の価値観やライフスタイルによって選択されるべきものであり、決して安易な選択ではありません。メリットとデメリットをしっかりと理解した上で、パートナーと十分に話し合い、将来設計を立てていくことが重要です。また、必要に応じて、弁護士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することも検討しましょう。

多様なパートナーシップの形が認められる社会になるためには、事実婚に対する社会的な認知度を高め、法的な保護を充実させていく必要があるでしょう。