結婚式を挙げる人は減っている？

結婚式を挙げる人は減っている？変わりゆく結婚観と時代の流れ

少子化が叫ばれる現代日本において、結婚そのものの数が減少傾向にあることは周知の事実です。しかし、結婚する人が減っている以上に注目すべきは、「結婚式を挙げない」カップルが増加しているという事実です。かつては人生における一大イベントとして、盛大に祝われることが一般的だった結婚式ですが、近年その様相は大きく変化しています。果たして、結婚式を挙げる人が本当に減っているのか、その背景にある理由を多角的に考察してみましょう。

最も大きな要因として挙げられるのは、間違いなく「費用」の問題です。結婚式は、会場費、料理代、衣装代、写真代、引き出物代など、多額の費用がかかります。平均的な結婚式費用は300万円を超えるとも言われ、新郎新婦にとって、そして両家の親族にとっても、決して無視できない経済的な負担となります。特に、若い世代は、住宅購入や教育資金といった将来への不安を抱えているケースが多く、高額な結婚式費用を優先順位の高い支出として見なせない傾向にあります。

しかし、費用だけが理由ではありません。現代の若者世代は、伝統的な形式に縛られることを良しとせず、自分たちのスタイルで自由に結婚を祝いたいという傾向が強まっています。形式張った結婚式に抵抗を感じ、親族や友人との親密な時間を優先したい、あるいは、よりカジュアルでリラックスした雰囲気の中で結婚の誓いを立てたいと考えるカップルが増えているのです。 これは、個人の価値観の多様化、そして情報化社会における選択肢の豊富化が背景にあります。インターネットを通じて様々な結婚式のスタイルを知ることができ、自分たちに合った形を選べるようになったことも、従来の形式にとらわれない結婚式を選ぶ人が増えている要因の一つと言えるでしょう。

また、結婚式にかかる費用を、より自分たちのやりたいことに充てたいという考え方も広まっています。例えば、挙式費用を節約して、新婚旅行を豪華にする、あるいは、趣味の旅行を継続して楽しむなど、結婚資金をより自由に活用したいというニーズが生まれています。結婚というイベント自体よりも、その後の二人の生活、そして二人の人生における思い出作りを重視する傾向が強まっていると言えるでしょう。

簡素な挙式、いわゆる「小さな結婚式」や、ごく親しい友人や家族だけで行う「少人数婚」を選ぶカップルも増加しています。これは、費用を抑えるという側面だけでなく、よりアットホームで温かい雰囲気の中で、大切な人たちと結婚の喜びを分かち合いたいという願望の表れでもあります。

さらに、結婚式の代替として、フォトウェディングや、旅行を兼ねた挙式など、従来とは異なるスタイルを選ぶカップルも増えています。SNSの発達により、写真や動画を通して、結婚の報告や祝福を共有することが容易になったことも、こうした傾向を後押ししていると言えるでしょう。

結論として、結婚式を挙げない人が増えているという現象は、単に費用問題だけでなく、結婚観の多様化、価値観の変容、そして社会経済状況の変化など、様々な要因が複雑に絡み合って生み出されていると言えるでしょう。 今後、結婚式はさらに多様化し、個々のカップルの価値観やライフスタイルに合わせた形へと進化していくことが予想されます。 「結婚式」という枠にとらわれず、自分たちにとって本当に大切なことを優先する、それが現代の結婚のあり方なのかもしれません。