配偶者ビザはなぜ1年しか取れないのですか？

なぜ配偶者ビザは最初1年しか出ないのか？ その裏に潜む審査の意図

日本の配偶者ビザ、正式名称は「日本人の配偶者等」という在留資格ですが、多くの場合、最初に許可される期間は1年です。「せっかく結婚したのに、なぜたった1年？」と不安に感じる方も少なくないでしょう。しかし、この1年という期間には、入国管理局の慎重な意図が隠されています。

配偶者ビザは、他の就労ビザなどと比較して取得しやすいイメージがあるかもしれませんが、実際には、偽装結婚や国際ロマンス詐欺などを防ぐための厳しい審査が行われています。その審査の一環として、最初の1年という期間が設けられているのです。

では、具体的にどのような点が審査されるのでしょうか？

1. 婚姻の信憑性：

最も重要なのは、夫婦関係が真実であり、永続的なものであるかどうかです。入国管理局は、提出された書類だけでなく、夫婦の出会いから結婚に至る経緯、日々のコミュニケーション、生活状況などを総合的に判断します。具体的には、以下のような点がチェックされます。

• 交際期間: 短期間での結婚の場合、その経緯が十分に説明できる必要があります。
• コミュニケーション: 言語の壁がある場合、どのようにコミュニケーションを取っているか、翻訳アプリの利用状況などを具体的に説明する必要があります。
• 経済状況: 日本人配偶者の収入が安定しているか、生活を維持できるだけの収入があるかどうかが重要です。
• 同居の事実: 実際に夫婦として同居しているかどうか、生活空間が共有されているかなどが確認されます。
• 過去の経歴: 過去に偽装結婚に関わった疑いがないかどうかも審査されます。

2. 在留状況の確認：

外国人配偶者が、日本で法的に問題なく生活しているかどうかも重要な審査ポイントです。

• 法令遵守: 交通違反、犯罪歴など、日本の法律に違反する行為がないか確認されます。
• 社会保険への加入: 国民健康保険や国民年金にきちんと加入しているかどうかが重要です。
• 税金の支払い: 税金を滞納していないかどうかも審査されます。

3. その他：

上記以外にも、入国管理局は様々な角度から夫婦関係や在留状況をチェックします。例えば、

• 周囲の証言: 親族や友人からの証言が、夫婦関係の信憑性を裏付けるために用いられることがあります。
• 写真やSNS: 夫婦の日常的な写真やSNSの投稿が、夫婦関係を証明する材料となることがあります。
• 面接: 入国管理局から夫婦同伴での面接を求められる場合もあります。面接では、夫婦関係に関する様々な質問がなされ、夫婦の回答に矛盾がないかどうかが確認されます。

1年間の在留期間は、これらの審査を継続的に行うための猶予期間とも言えます。1年間、問題なく日本で生活し、夫婦関係を維持することで、3年や5年といったより長期の在留許可を得られる可能性が高まります。

1年の壁を乗り越えるために：

1年後の更新を見据えて、日々の生活を大切にすることが重要です。

• 夫婦間のコミュニケーションを密に保つ: 日常会話はもちろん、将来の計画や目標などを共有することで、夫婦の絆を深めましょう。
• 法令遵守を徹底する: 交通違反や犯罪はもちろん、税金の滞納などにも注意しましょう。
• 社会保険に加入する: 国民健康保険や国民年金にきちんと加入し、保険料を滞納しないようにしましょう。
• 記録を残す: 夫婦の思い出となる写真や動画を撮ったり、旅行の記録を残したりすることも、夫婦関係を証明する上で役立ちます。

配偶者ビザの1年という期間は、決してネガティブなものではありません。むしろ、真実の夫婦関係を証明し、より長く日本で生活するための第一歩と捉え、前向きに取り組んでいきましょう。