1年以内に離婚する割合は？

別居期間1年未満で離婚に至る夫婦の実態：令和4年度離婚統計から見える日本の離婚事情

令和4年度の日本の離婚統計は、離婚に至るまでの過程において「別居」が重要な役割を果たしていることを示唆しています。特に注目すべきは、別居期間が1年未満で離婚に至る夫婦が82.8%という圧倒的な割合を占めている点です。この数字は、多くの夫婦が別居という決断を経て、比較的短期間で離婚という結論に至っていることを意味します。

なぜ、別居期間が短い夫婦が多いのでしょうか？背景には、現代日本の離婚を取り巻く様々な要因が複雑に絡み合っていると考えられます。

1. 協議離婚の増加：

日本の離婚は、裁判所を介する裁判離婚よりも、夫婦間の合意による協議離婚が圧倒的に多いのが現状です。統計データからも、協議離婚における別居期間1年未満の割合は86.2%と、全体平均を上回っています。これは、当事者同士が話し合い、財産分与や親権など、離婚条件について合意に至れば、比較的スムーズに離婚が成立することを意味します。別居は、感情的な距離を置き、冷静に話し合うための準備期間として機能している可能性があります。

2. 別居が離婚への決意を固める期間となる：

夫婦関係の悪化、価値観の相違、性格の不一致など、離婚の原因は様々ですが、多くの場合、別居はこれらの問題が深刻化し、関係修復が困難になった結果として選択されます。別居期間は、夫婦がお互いの存在から離れ、自己を見つめ直す時間となります。その結果、離婚という選択がより現実的なものとして認識され、決意が固まるケースが多いと考えられます。

3. 経済的な自立と離婚：

近年、女性の社会進出が進み、経済的に自立した女性が増加しています。経済的な自立は、離婚という選択肢をより現実的なものにし、夫婦関係に我慢する必要性を低下させます。別居期間中に、生活基盤を確立し、経済的な自立を果たすことで、離婚へのハードルが下がる可能性があります。

4. DV（ドメスティックバイオレンス）やハラスメント：

DVやハラスメントは、離婚の重大な原因となります。これらの問題が存在する場合、安全を確保するために緊急的に別居を選択するケースも少なくありません。別居は、被害者にとって加害者からの避難場所となり、離婚に向けた準備期間となります。

5. 裁判離婚の場合：

一方、裁判離婚における別居期間1年未満の割合は56.8%と、協議離婚に比べて低い傾向にあります。これは、裁判離婚の場合、離婚原因の立証や財産分与などの争点が複雑化し、解決に時間がかかるためと考えられます。

統計から見えてこない背景：

統計データは、離婚の実態を数字で捉える上で非常に重要ですが、その背後にある複雑な人間関係や感情、個々の事情までは詳細に把握することはできません。夫婦関係の崩壊は、当事者にとって精神的にも経済的にも大きな負担となります。離婚を回避するためには、夫婦間のコミュニケーションを密にし、早期に関係修復に努めることが重要です。

令和4年度の離婚統計は、現代日本の離婚事情を理解する上で貴重な情報を提供してくれます。しかし、統計データだけでなく、個々の事例に目を向け、離婚という選択に至る背景にある様々な要因を深く理解することが、より良い社会の構築に繋がるのではないでしょうか。