同じ意味を重ねた熟語は？

同じ意味を重ねた熟語：日本語の奥深さを探る

日本語には、同じ意味を持つ単語を重ねて一つの熟語を作る表現が多く存在します。これらは重言（じゅうげん）や同義語反復と呼ばれ、単に意味を繰り返すだけでなく、言葉にリズムや力強さ、微妙なニュアンスを付加する役割を果たしています。単なる冗長性ではなく、日本語特有の表現の奥深さを垣間見ることができるのです。

例えば、「完全完璧」という熟語を考えてみましょう。「完全」も「完璧」も欠点がなく申し分ない状態を表す言葉です。しかし、二つを重ねることで、その完璧さがより強調され、揺るぎない確信さえ感じられます。単に「完璧」と言うよりも、より強い印象を与え、聞き手の心に深く刻まれます。

このような重言は、日常会話から文学作品まで幅広く使われています。いくつか例を挙げながら、その多様な使い方と効果を見ていきましょう。

1. 強調・確信:

• 「始終終始（しじゅうしゅうし）」: 常にという意味の「始終」を重ねることで、その状態が途切れることなく続いていることを強調しています。
• 「確乎不動（かっこふどう）」: 確かな様子と動かない様子を表す言葉を重ね、揺るぎない信念や確固たる意志を表します。
• 「老若男女（ろうにゃくなんにょ）」: 老人も若者も、男も女も、あらゆる人を指す際に用いられ、包括的な範囲を強調します。

2. 擬態語・擬音語との組み合わせ:

• 「きらきら光る」: 光のきらめきを表す擬態語「きらきら」を重ねることで、その鮮やかさが増幅されます。
• 「どんどん進む」: 物事が勢いよく進む様子を表す擬音語「どんどん」を重ねることで、そのテンポの良さが強調されます。

3. 古風な表現・故事成句:

• 「弥々（いよいよ）」: ますますという意味を持つ「弥」を重ねた古風な表現で、事態の進行や感情の高まりを強調します。
• 「辛辛苦苦（しんしんくく）」: 苦しいという意味の「辛苦」を重ねることで、大変な苦労を乗り越えた様子が鮮明に伝わります。

4. 微妙なニュアンスの表現:

同じ意味の言葉を重ねることで、単に強調するだけでなく、微妙なニュアンスを表現することも可能です。例えば、「ゆっくりゆっくり歩く」と「ゆっくり歩く」では、前者の方がより慎重で時間をかけている印象を与えます。また、「しんみりしんみりする」のように重ねることで、静かで落ち着いた雰囲気をより深く表現することができます。

このように、重言は単なる重複ではなく、日本語の表現力を豊かにする重要な役割を担っています。言葉のリズムや力強さを増幅させ、微妙なニュアンスを伝えることで、より深い意味や感情を表現することを可能にしています。日常で使われている言葉の中にも、多くの重言が隠されています。意識して探してみると、日本語の奥深さを再発見できるかもしれません。 そして、これらの重言を効果的に使うことで、より豊かな表現でコミュニケーションを取ることができるようになるでしょう。

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