夜の12時はAMとPMのどちらになりますか？

真夜中の12時：AMとPMの狭間で揺れる時間

「真夜中の12時」という言葉を聞くと、多くの人は静寂に包まれた深夜を思い浮かべるでしょう。しかし、この時間は、AMとPMという時間表記において、少々厄介な存在なのです。一体、真夜中の12時はAMなのでしょうか？ それともPMなのでしょうか？

結論から言えば、慣習的にはAMとされています。しかし、話はそう単純ではありません。

AMとPMは、それぞれラテン語の「Ante Meridiem」（正午より前）と「Post Meridiem」（正午より後）の略です。つまり、正午を基準として、午前と午後を区別しているわけです。

この原則に従うならば、正午はPM、真夜中はAMとなるのが自然です。実際、多くのデジタル時計や一般的な時間表記では、真夜中の12時をAM12:00と表示します。

しかし、なぜこのような「慣習」が生まれたのでしょうか？

その背景には、時間の連続性という概念があります。1日を24時間で区切る際、真夜中の12時は、前日の終わりであり、新しい1日の始まりでもあります。そのため、PMからAMへの移行点として、AM12:00という表記が自然と定着していったと考えられます。

一方で、この慣習は混乱を招くこともあります。例えば、24時間表記に慣れている人にとって、AM12:00は、正午と混同される可能性があります。また、予約システムやデータベースなど、厳密な時間管理が求められる場面では、AM/PM表記ではなく、24時間表記を用いることが推奨されます。

さらに、法律や航空関係など、正確性が特に重要視される分野では、曖昧さを避けるために、AM/PM表記自体を避け、24時間表記を用いることが一般的です。例えば、飛行機の出発時刻は、「12:00 AM」ではなく「00:00」と表記されます。

このように、真夜中の12時という時間は、単なる時刻を示すだけでなく、時間の概念、表記の慣習、そして分野ごとの厳密性の違いを映し出す鏡のような存在と言えるでしょう。

私たちが日常的に使用している時間表記は、決して絶対的なものではなく、歴史的な背景や社会的な慣習によって形作られたものであることを、真夜中の12時は静かに教えてくれているのかもしれません。