赤ちゃんが「ダメ」と分かるのはいつか?

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生後3~4ヶ月で周囲への認識が深まり、6ヶ月頃には母親への特別な愛情が芽生え始めます。8ヶ月頃には「ママじゃないとダメ!」という反応が顕著になり、パパ見知りもこの頃に始まり、1歳半頃まで続くことが多いです。これは、赤ちゃんの発達段階における重要な社会的認知の発現を示しています。
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赤ちゃんの「ダメ」という理解、それは単なる言葉の理解ではありません。それは、周囲の世界との複雑な相互作用、そして自己と他者との関係性を認識し始める過程の一部です。 「ダメ」という言葉を理解する時期は、赤ちゃん一人ひとりで異なり、明確な時期を断定することはできません。しかし、発達心理学の知見や保育の現場での観察から、その理解の深まりを段階的に見ていくことができます。

生後3~4ヶ月頃には、赤ちゃんの視覚や聴覚が発達し、周囲の人物や物事をより鮮明に認識し始めます。顔のパーツを区別し、笑顔や声に反応するようになり、親とのアイコンタクトも増えます。この段階では「ダメ」という言葉の意味を理解しているわけではありませんが、親の表情や声のトーンの変化から、状況が好ましいものかそうでないかをある程度察知し始めることができます。例えば、笑顔と優しい声で話しかけられる時と、眉間にしわを寄せ、厳しい声で注意される時を区別し、後者の状況を不快に感じるといった反応を示すでしょう。

6ヶ月頃になると、母親(もしくは主要な養育者)に対する特別な愛情が芽生え始めます。これは「選好性」と呼ばれ、特定の人物への強い愛着を示すようになります。「ママじゃないとダメ!」という分離不安が顕著になるのは、8ヶ月頃からです。これは、赤ちゃんの認知能力の発達と密接に関係しています。赤ちゃんは、母親と他の大人を区別できるようになり、母親がそばにいない状況への不安や、母親以外の者への警戒感を強く示すようになります。この段階では、「ダメ」という言葉自体は理解していなくても、母親と離れること、あるいは母親以外の者によって抱かれること自体を嫌がる、つまり「ダメ」な状況だと感じていると言えるでしょう。

しかし、これは「ダメ」という言葉を理解しているという意味ではありません。むしろ、安全基地である母親との分離への不安、そして自身の安全確保のための本能的な反応なのです。 「ダメ」という言葉を明確に理解し、その指示に従うようになるのは、さらに後の段階です。1歳半頃から2歳頃にかけて、言葉の理解が飛躍的に進歩し、親の指示を理解し、それに従う行動が増えてきます。この頃には、「ダメ」という言葉を具体的な行動と結びつける能力が育ち、例えば「ダメ!」と言われたら、触ってはいけないものに触ったり、危険な行動をとったりすることを控えるようになります。

しかし、この理解もまだ完全なものではありません。状況判断や、感情のコントロールはまだ未発達なため、どうしても「ダメ」な行動をしてしまうこともあります。親は、赤ちゃんの発達段階を理解した上で、優しく丁寧に教え、繰り返すことで、徐々に「ダメ」の意味を理解させ、望ましい行動を促していく必要があります。

「ダメ」という理解の獲得は、単なる言葉の学習ではなく、認知、感情、社会性の発達と複雑に絡み合ったプロセスです。 赤ちゃんの発達を丁寧に観察し、個々のペースを尊重することが、健やかな成長を促す上で非常に重要です。 それぞれの段階で、赤ちゃんが示すサインに注意深く耳を傾け、適切な対応をしていくことが求められます。