ASDの人は何が困るのか?

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自閉スペクトラム症(ASD)の人は、コミュニケーションに困難を抱えがちです。特に面接では、面接官とのやり取りに苦労し、就職活動で苦労するケースも少なくありません。 また、言葉のニュアンスを誤解したり、意図せず相手を不快にさせたりする傾向があるため、信頼関係の構築や友人関係の形成も難しくなります。

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ASDの人が困ること:見えにくい苦悩とその理解に向けて

自閉スペクトラム症(ASD)の人は、独特な脳の働き方をするため、日常生活の中で様々な困難に直面します。一見すると“普通”に見える人も少なくありませんが、内面では大きな苦悩を抱えていることが多く、その理解と支援が重要です。この記事では、ASDの人がどのような困難を抱えているのか、具体的に見ていきましょう。

まず、よく知られているのがコミュニケーションの困難です。言葉の表面的な意味は理解できても、比喩や皮肉、冗談といった言葉の裏にあるニュアンスを理解するのが難しかったり、相手の表情や声のトーン、ボディランゲージなど非言語的なコミュニケーションを読み取ることが苦手だったりします。そのため、会話がかみ合わなかったり、誤解が生じたり、意図せず相手を不快にさせてしまうこともあります。就職活動の面接や、職場での人間関係、友人とのコミュニケーションなど、社会生活を送る上で大きな壁となる場合があります。

次に、感覚過敏・鈍麻も大きな課題です。特定の音、光、匂い、味、触覚などに過敏に反応したり、逆に鈍感だったりします。例えば、蛍光灯の光が眩しすぎて集中できなかったり、衣類のタグのチクチク感が耐えられなかったり、周りの雑音が気になって会話に集中できなかったりします。日常生活で常に強いストレスにさらされ、疲労困憊してしまうこともあります。また、感覚の鈍麻によって痛みを感じにくく、怪我に気づかない場合もあります。

こだわりが強いこともASDの特徴の一つです。特定の物事への強い執着や、ルーティンへのこだわりが見られます。例えば、特定の食べ物しか食べなかったり、決まった順番で物事を進めないと不安になったり、特定の話題に固執して延々と話続けたりします。これらのこだわりは、本人にとって安心感を得るための手段である場合も多いですが、周りの人からは理解されにくく、トラブルの原因になることもあります。

さらに、変化への対応が難しいという点も挙げられます。急な予定変更や、慣れない環境への適応に困難を感じることがあります。例えば、時間割の変更や、引っ越し、旅行など、予期せぬ出来事が起こるとパニックを起こしたり、強いストレスを感じたりします。そのため、柔軟な対応が求められる場面では、大きな負担を抱えることになります。

想像力の弱さも指摘されることがあります。相手の気持ちを想像したり、将来のことを予測したりするのが難しい場合があります。そのため、相手の立場に立って考えることが苦手だったり、計画を立てることが難しかったりします。また、空想やごっこ遊びが苦手という子もいます。

これらの困難は、ASDの人それぞれで現れ方が大きく異なります。軽度の症状の人は、日常生活に大きな支障なく過ごせる場合もありますが、重度の症状の人は、日常生活を送る上で多くのサポートを必要とします。

ASDの人の困難を理解し、適切な支援を行うことが、彼らが社会で生きやすくなるために不可欠です。周りの人は、彼らの特性を理解し、辛抱強く接することで、より良いコミュニケーションを築き、彼らが能力を発揮できる環境を作ることが重要です。また、ASDの人自身も、自分の特性を理解し、適切な対処法を学ぶことで、より充実した人生を送ることができるでしょう。 そのためには、社会全体でASDへの理解を深め、支援の輪を広げていくことが大切です。