なぜ171はスマホから使えないのですか？

災害用伝言ダイヤル171：スマホで使えない、ではないけれど…

大規模災害時、安否確認の手段として重要な役割を果たす災害用伝言ダイヤル171。電話番号さえ覚えていれば、誰でも簡単に利用できるというイメージを持っている方も多いかもしれません。しかし、実は「スマホから使えない」という誤解が一部で広まっています。実際には、スマホからも171へ発信し、伝言を聞くことは可能です。では、なぜこのような誤解が生じるのでしょうか？それは、171のシステムの根幹に関わる、ある制限事項にあります。

171は、大きく分けて「音声による伝言ダイヤル」と「Web171」の二つのサービスを提供しています。音声ダイヤルは、固定電話と携帯電話の両方から利用できます。一方、Web171はインターネット経由でアクセスするサービスで、パソコンやスマートフォン、タブレットなどから利用できます。一見、どちらを使っても同じように思えますが、重要な違いは「伝言の録音」にあります。

音声ダイヤルで伝言を録音するには、IDとパスワードが必要となります。そして、このIDとして登録できるのは、被災地の固定電話番号のみなのです。つまり、固定電話を持たない、あるいは被災地以外の固定電話番号しか持っていない人は、音声ダイヤルで伝言を録音することができません。これが「スマホから使えない」という誤解の根源です。スマホユーザーの多くは固定電話を持っていないため、音声ダイヤルで伝言を録音できないことから、「171はスマホで使えない」と認識してしまうのです。

一方、Web171では、携帯電話番号やメールアドレスを登録することで、音声ダイヤルと同様に伝言の録音・再生が可能です。つまり、固定電話を持っていなくても、Web171を利用すれば、スマホからでも171を活用できるのです。しかし、Web171にはアクセス集中による接続障害のリスクが伴います。大規模災害発生直後は、多くの人が同時にアクセスするため、繋がりにくい状況が発生する可能性が高いのです。

では、固定電話を持たないスマホユーザーは、どのように171を活用すれば良いのでしょうか？

まず、大規模災害に備えて、家族や友人と連絡手段を複数確保しておくことが重要です。SNSやメッセージアプリなども有効な手段となります。また、Web171の利用も検討しましょう。アクセス集中を避けるため、災害発生直後ではなく、少し時間を置いてアクセスしてみるのも一つの方法です。さらに、171の仕組みや使い方を事前に理解しておくことも大切です。いざという時に慌てないよう、普段から171のウェブサイトなどで情報をチェックしておきましょう。

災害時は、情報が錯綜し、不安な気持ちに陥りやすい状況です。正確な情報を把握し、適切な行動をとるために、171の正しい使い方を理解しておくことは非常に重要です。固定電話がなくても、Web171やその他の連絡手段を組み合わせることで、171を有効に活用し、大切な人と繋がりを保つことができるのです。「スマホから使えない」という誤解を解き、171を正しく理解することで、災害時の安心・安全に繋げましょう。

最後に、171は災害時のためのシステムです。安否確認以外の目的で使用したり、いたずらで利用することは絶対にやめましょう。限られたリソースを有効に活用するために、一人ひとりの意識と協力が不可欠です。