パッシブセンサー 何に反応する?

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パッシブセンサーは、人体が自然に放射する赤外線を検知する受動型のセンサーです。防犯用途では、室内に侵入した人物が放出する赤外線を捉え、アラームを作動させるなどの役割を果たします。自らエネルギーを発せず、周囲の環境から自然に放出されるエネルギーを感知します。

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パッシブセンサーは、その名の通り、自らエネルギーを積極的に放出せず、周囲環境から放出されるエネルギーの変化を検知することで動作するセンサーです。前述の通り、最も一般的なのは赤外線パッシブセンサーですが、その反応対象は赤外線だけにとどまりません。様々な物理現象を感知するパッシブセンサーが存在し、それぞれ異なる用途に活用されています。 本稿では、パッシブセンサーが反応する様々な対象とその原理について詳しく解説します。

1. 赤外線パッシブセンサー (PIRセンサー): 人体熱の検知

最も普及しているパッシブセンサーは、赤外線パッシブセンサー(PIRセンサー)です。これは、人体や動物が放出する赤外線(熱)を検知します。人間の体温は約37℃で、周囲環境よりも高い温度を持つため、赤外線放射量も異なります。PIRセンサーは、この温度差を検出することで動作します。具体的には、二つの赤外線センサ素子が交互に検知し、その出力信号の変化を比較することで、人体などの移動を検出します。単なる温度変化ではなく、温度変化の 時間変化 を捉える点が重要です。静止している物体は、たとえ高温であっても変化がないため検知されません。そのため、風による温度変化や、太陽光による温度変化は、適切な設計とフィルターによって無視されます。 しかし、非常に強い熱源や、ゆっくりとした温度変化には反応しにくいという弱点も持ち合わせています。

2. 超音波パッシブセンサー: 音波の反射を利用

超音波パッシブセンサーは、超音波の反射を検知することで動作します。超音波を発信するのではなく、周囲から反射される超音波を受信することで、物体や人の存在を検知します。 例えば、ガラスや金属など、超音波を良く反射する素材に近づく動きを検知することができます。PIRセンサーでは検知できない、ガラス越しの人物や、薄い布地の陰に隠れた人物の検知にも有効です。しかし、大きな音や振動、風などによるノイズに影響を受けやすいという欠点もあります。 また、超音波の反射パターンを分析することで、対象物の形状や距離を推定することも可能です。

3. マイクロ波パッシブセンサー: ドップラー効果を利用

マイクロ波パッシブセンサーは、マイクロ波のドップラー効果を利用して動きを検出します。物体(例えば、人)が近づいたり遠ざかったりすると、反射波の周波数が変化します。この周波数の変化を検出することで、物体の動きを感知します。 壁などの障害物を貫通する能力が高く、PIRセンサーでは検知できない場所でも検出可能です。 しかし、金属や水などマイクロ波を吸収する物質があると検知精度が低下します。 また、雨や雪などの気象条件にも影響を受けやすい傾向があります。

4. その他のパッシブセンサー

これ以外にも、磁気センサー(磁場の変化を検知)、振動センサー(振動を検知)、光センサー(光の強度の変化を検知)など、様々な物理現象を感知するパッシブセンサーが存在します。これらのセンサーは、それぞれ異なる用途に合わせて選択され、セキュリティシステム、自動ドア、産業機器など、幅広い分野で活用されています。

このように、パッシブセンサーは、赤外線、超音波、マイクロ波など、様々な物理現象を感知することで動作し、それぞれの特性を活かした幅広い用途に利用されています。 それぞれのセンサーの長所と短所を理解することで、最適なセンサーを選択し、より効果的なシステム構築が可能となります。