成田空港にはなぜ2本の管制塔があるのですか?

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成田空港には高さと低さの異なる管制塔が2つあります。以前は低い管制塔のみでしたが、空港拡張に伴い滑走路や誘導路が見えにくくなったため、より高い新管制塔が建設されました。現在、両方の管制塔が役割分担しながら航空管制を行っています。
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成田空港。日本の空の玄関口として、世界中の人々を迎え入れ、送り出すこの巨大空港には、実は管制塔が2本立っていることをご存知でしょうか? 多くの人は、空港といえば管制塔が1本というイメージを持っているかもしれません。なぜ成田空港には2本もの管制塔が必要なのでしょうか? その理由を探ることで、成田空港の歴史と、航空管制の進化が見えてきます。

当初、成田空港には1本、高さ62メートルの管制塔しかありませんでした。これは「旧管制塔」、あるいは「第1管制塔」と呼ばれています。開港当初はこの管制塔で十分に空港全体の管制業務をこなすことが可能でした。しかし、時代の流れと共に成田空港は拡張を続け、新たな滑走路や誘導路が次々と建設されていきました。

特に、2002年に供用開始されたB滑走路は、旧管制塔から見ると既存のターミナルビルやその他の施設によって視界が遮られてしまうという問題が発生しました。B滑走路を安全に運用するためには、より高い位置からの管制が必要不可欠でした。

そこで建設されたのが、高さ97メートルの新管制塔、別名「第2管制塔」です。この新管制塔は、最新の管制設備を備え、より広範囲、より高い位置からの管制を可能にしました。これにより、B滑走路を含む全ての滑走路と誘導路をくまなく見渡すことができるようになり、航空機の安全運航が確実なものとなりました。

現在、この2本の管制塔は役割分担をしながら航空管制業務を行っています。基本的には、新管制塔が空港全体の管制を統括し、離着陸を含む航空機の誘導、地上走行の指示などを行っています。一方、旧管制塔は、新管制塔の補助的な役割を担い、主に地上走行の管理や、新管制塔との連携、緊急時のバックアップ機能などを担っています。いわば、新管制塔が指揮官、旧管制塔が副官のような関係と言えるでしょう。

2本の管制塔の存在は、成田空港の拡張の歴史を物語ると同時に、航空管制の進化を示す象徴でもあります。増え続ける航空需要に対応し、安全性を確保するために、常に最新の技術と設備が導入され、運用方法も進化し続けているのです。

また、2本の管制塔が連携して航空管制を行うことで、より安全で効率的な運航が可能となっています。万一、新管制塔にトラブルが発生した場合でも、旧管制塔が即座に管制業務を引き継ぐことができるため、航空機の安全は確保されます。

成田空港の2本の管制塔は、単なる建造物ではなく、日本の空の安全を守るための重要な役割を担っているのです。次に成田空港を利用する際には、ぜひこの2本の管制塔に目を向けてみてください。その存在は、私たちが安心して空の旅を楽しめる裏側で、多くの努力と工夫が重ねられていることを静かに物語っているはずです。