海外のトランシーバーを使うのは違法ですか？

海外製トランシーバーの日本国内使用：違法性と注意点

近年、手軽に通信手段を確保できるトランシーバーの人気が高まっています。特に、海外製のトランシーバーは価格が安く、多機能な機種も多いことから、魅力的に映る方もいるでしょう。しかし、安易な購入と使用は、思わぬ法的リスクを伴います。日本国内で海外製トランシーバーを使用する場合、電波法違反となる可能性があることを十分に理解しておく必要があります。

日本の電波法は、無線機の使用について厳格な規制を設けています。特に重要なのは、送信出力です。許容される出力レベルを超える無線機を使用すると、電波法違反となります。海外製のトランシーバーは、日本の技術基準適合証明（技適マーク）を取得していないものが多く、日本の基準を大きく上回る出力を持つものも少なくありません。これらの無線機を日本で使用した場合、電波干渉を引き起こしたり、他の無線通信を妨害したりする可能性があり、重大な社会問題につながる可能性があります。

電波法違反の罰則は決して軽くありません。1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があり、個人だけでなく、企業においても大きな損失につながります。単に趣味で利用している場合でも、法的責任を負うことを避けられません。

では、海外製のトランシーバーを安全に日本で使うためにはどうすれば良いのでしょうか？

まず、最も重要な点は技適マークの確認です。無線機器本体に技適マーク（PSEマークとは異なります）が貼付されていることを確認しなければなりません。このマークは、総務省が定める技術基準に適合していることを示すもので、これがない機器は日本国内で使用することは原則として違法です。

技適マークを確認するだけでは不十分な場合もあります。たとえ技適マークがあっても、改造された機器や、仕様が変更された機器は、法令に適合しなくなる可能性があります。中古で購入する際には、特に注意が必要です。販売元に詳細な仕様を確認したり、専門家に相談したりするなど、十分な確認を行うべきです。

さらに、単に技適マークの有無だけでなく、使用目的も重要です。例えば、アマチュア無線を行う場合は、免許の取得が必要になります。免許なしでアマチュア無線を行うことも電波法違反となります。特定小電力無線局の免許不要無線機を使用する場合でも、周波数や出力、使用場所など、法令で定められた範囲内で使用しなければなりません。

海外旅行で海外製のトランシーバーを購入し、日本に持ち帰ったとしても、技適マークがなければ使用することはできません。そのまま保管するか、専門業者に相談して適切な処分を依頼する必要があります。

最後に、電波法に関する情報は、総務省のホームページなどで確認することができます。不明な点があれば、総務省へ直接問い合わせることも有効な手段です。自己判断で行動せず、常に最新の法令を理解し、安全に、そして合法的に無線機器を使用することが不可欠です。安易なコスト削減が、高額な罰金や社会的制裁につながることを、常に心に留めておきましょう。