2024年問題で1日走行できる距離は?

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2024年の改正基準により、一般道走行可能な大型車の1日あたりの走行距離は450kmに制限されます。この改正には、改正後基準と一般道走行大型車の追加要件が考慮されています。

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2024年問題で1日走行できる距離は?:ドライバー不足解消への険しい道のり

2024年4月1日より、働き方改革関連法に基づく時間外労働の上限規制が自動車運転業務にも適用されます。これにより、トラックドライバーの長時間労働が制限され、1日の走行距離にも大きな影響が出るとされています。よく「1日450km」という数字が一人歩きしていますが、実際はそれほど単純ではありません。この記事では、2024年問題における走行距離の制限について、その複雑さと課題を紐解いていきます。

まず、「1日450km」という数字の根拠について見てみましょう。これは、標準的な拘束時間(13時間)から、荷待ち時間や休憩時間などを差し引いた実働時間(9時間)を想定し、平均時速50kmで走行した場合の距離です。しかし、これはあくまでも一つの目安に過ぎません。

実際の走行距離は、道路状況、天候、積荷の種類、配送ルートなど、様々な要因によって大きく変動します。例えば、都市部での配送では渋滞に巻き込まれることが多く、高速道路を利用する場合に比べて走行距離は短くなります。また、悪天候時には安全確保のために速度を落とす必要があり、走行距離はさらに短縮されるでしょう。

さらに、改正基準には「改正後基準」と「一般道走行大型車の追加要件」という要素が絡み合い、より複雑な状況を生み出しています。改正後基準では、時間外労働の上限規制に加え、休息時間の確保も厳格化されます。つまり、ドライバーはこれまで以上に休息時間を確保する必要があり、結果として走行可能な時間は減少します。

一般道走行大型車への追加要件としては、例えば、より高度な安全運転技術が求められるケースや、特殊な積荷の運搬に伴う手続きなど、時間外労働以外にも走行距離に影響を与える要因が存在します。これらの要件を満たすために、さらなる時間が必要となる場合もあり、結果として走行距離は450kmを大きく下回る可能性も出てきます。

では、この問題にどのように対応すれば良いのでしょうか。運送業界では、ドライバー不足が深刻化している中、走行距離の制限は更なる打撃となることが懸念されています。単に「1日450km」という数字にとらわれるのではなく、以下のような対策を総合的に検討していく必要があります。

  • 輸送効率の向上: 積載効率の向上、配送ルートの最適化、共同配送の推進など、限られた時間でより多くの荷物を運べる体制を構築する。
  • デジタル技術の活用: AIを活用した運行管理システムや、自動運転技術の導入など、ドライバーの負担を軽減し、効率的な運行を実現する。
  • ドライバーの待遇改善: 賃金アップ、労働時間の短縮、福利厚生の充実など、ドライバーの労働環境を改善し、人材確保につなげる。
  • 荷主企業との連携: 荷待ち時間の削減、リードタイムの延長など、運送業界全体で協力して輸送効率を向上させる。

2024年問題は、単なる走行距離の制限にとどまらず、物流業界全体の構造改革を迫る大きな転換点となります。関係者全員が問題意識を共有し、持続可能な物流システムの構築に向けて、早急に取り組む必要があります。 “1日450km” という数字は、あくまで目安であり、現実的な対応策を探るためには、より多角的な視点が必要不可欠です。