CEマークの責任者は誰ですか？

CEマーキング：責任の所在を明確に理解する

EU市場へのアクセスを目指す企業にとって、CEマーキングは必須の要件です。製品にCEマーキングを付与することは、その製品がEUの安全、健康、環境保護に関する必須要件を満たしていることを宣言するものであり、市場へのパスポートとも言えます。しかし、この重要なマーキングに関する責任の所在について、曖昧な理解のまま進めてしまうと、深刻な法的問題やビジネスリスクに直面する可能性があります。そこで、本記事ではCEマーキングの責任主体とその役割について詳しく解説します。

CEマーキングの責任は、大きく分けてEU域内製造業者とEU域外からの輸入業者の二者に分かれます。

1. EU域内製造業者:

EU域内で製品を製造する企業は、CEマーキングに関する主要な責任を負います。具体的には、以下の義務を遂行しなければなりません。

• 該当指令の特定: 自社製品がどの指令の対象となるかを正確に特定する必要があります。複数の指令が適用される場合もあります。
• 適合性評価手続きの実施: 該当指令に基づいた適切な適合性評価手続きを実施し、技術文書を作成し保管しなければなりません。この手続きには、製品試験、品質管理システムの構築、技術ファイルの作成などが含まれます。自己宣言で済む場合もあれば、第三者機関による認証が必要な場合もあります。
• EU適合宣言書の作成: 製品が関連指令の必須要件を満たしていることを宣言するEU適合宣言書を作成し、署名する必要があります。この文書には、製造業者名、製品情報、適用指令、適合性評価手続きなどが記載されます。
• CEマーキングの付与: 適合性評価手続きが完了し、EU適合宣言書が作成された後、製品、またはその包装、あるいは添付文書にCEマーキングを付与します。マーキングは視認性が高く、読みやすく、消えないように表示しなければなりません。
• 技術文書の保管: 適合性評価手続きに関する技術文書を最低10年間保管する義務があります。市場監視当局からの要求に応じて、これらの文書を提示しなければなりません。

2. EU域外からの輸入業者:

EU域外から製品を輸入する企業も、CEマーキングに関して重要な責任を負います。製造業者がCEマーキングに関する義務を適切に果たしていることを確認する責任があり、いわばEU市場へのゲートキーパーとしての役割を担います。具体的には、以下の点を確認する必要があります。

• 製造業者が適切な適合性評価手続きを実施しているか: 製造業者から技術文書や試験報告書などの証拠を入手し、適切な適合性評価手続きが実施されていることを確認します。
• EU適合宣言書が作成されているか: 製造業者から有効なEU適合宣言書を入手し、内容を確認します。
• CEマーキングが正しく付与されているか: 製品にCEマーキングが正しく付与されているか、視認性や耐久性などを確認します。
• 取扱説明書やラベルがEUの言語要件を満たしているか: 製品に付属する取扱説明書やラベルがEU域内で販売される国の言語で作成されていることを確認します。
• 連絡先の明示: 輸入業者自身の連絡先を製品またはその包装に明示する必要があります。

EU市場監視当局は、CEマーキングの遵守状況を監視しており、違反が発見された場合は、製品の回収、販売停止、罰金などの措置がとられる可能性があります。そのため、製造業者と輸入業者は、それぞれの責任を明確に理解し、適切な対応を行うことが不可欠です。CEマーキングは単なるマークではなく、EU市場へのアクセスを確保するための重要な鍵であり、その責任を軽視することはできません。適切な知識と準備をもって、EU市場への進出を成功させましょう。