CEマークは国内で使われるもの？

CEマークは国内で使われるもの？ ── 日本の製品安全基準とEU規格の微妙な違い

インターネット上にはCEマークに関する情報が溢れていますが、その多くは断片的な情報に留まり、特に日本国内におけるCEマークの扱いについては誤解されているケースが多いようです。そこで、本記事ではCEマークの国内での使用状況、日本の製品安全基準との関係性、そしてEU域外製品の日本への輸入に関する手続きについて、より詳細に解説します。

結論から言うと、日本国内でCEマークを「勝手に」使用することはできません。 CEマークは、欧州連合（EU）加盟国における製品の安全規格適合を示すものであり、いわばEU市場への「入場券」です。 日本の製品安全基準とは全く別のシステムであり、CEマークの有無は日本国内での製品販売を保証するものではありません。 日本の消費者や事業者にとって、CEマークは製品の安全性を示唆する一つの指標としては捉えられますが、それを信頼して安全性を判断するのは危険です。

では、日本の製品安全基準はどうなっているのでしょうか？ 日本では、製品の種類に応じて様々な法律や省令が定められており、それぞれの製品に特定の安全基準が適用されます。これらは「特定製品安全技術基準」として、経済産業省を中心とした各省庁が管轄しています。 例えば、電気製品であれば電気用品安全法、玩具であれば玩具安全基準などが該当します。 これらの基準は、CEマークの基準とは独立して制定・運用されており、内容も必ずしも一致しません。

EU域外、つまりEU以外で製造された製品を日本に輸入する場合、日本の特定製品安全技術基準に適合していることを証明する必要があります。 具体的には、製品の試験を行い、適合性確認機関による認証を得るなど、該当する法律や省令に従った手続きが必要です。 これは、CEマークを取得しているか否かに関係なく、日本の市場に製品を投入するために必須のステップです。 CEマークの取得は、日本の法令遵守とは無関係であり、むしろ日本国内での販売には、日本の安全基準への適合証明が不可欠となるのです。

さらに重要な点として、CEマークは偽造される可能性もあるという点です。 安易にCEマークを信用し、日本の安全基準の確認を怠ってしまうと、消費者の安全を脅かすだけでなく、事業者側も法律違反による罰則を受ける可能性があります。 よって、輸入業者や販売業者にとって、日本の安全基準への適合を確認することは、法的責任を果たす上でも非常に重要です。

要約すると、CEマークはEU市場のためのもの、日本の特定製品安全技術基準は日本市場のためのものであり、両者は完全に独立しています。 日本国内での製品販売には、日本の安全基準への適合が不可欠であり、CEマークの有無は関係ありません。 消費者は、CEマークだけでなく、製品に添付されている情報や、販売業者の説明などを総合的に判断し、安全性を確認する必要があります。 また、事業者は日本の法令を遵守し、消費者保護に配慮した行動をとる必要があります。 CEマークに惑わされず、日本の法律と基準を正しく理解することが、安全な製品流通の基盤となります。