ESIMを他の人に使うとどうなる？

eSIMを他人と共有することの危険性：安易な「おすそ分け」が招くリスク

eSIM、つまり組み込み型SIMは、物理的なSIMカードを抜き差しすることなく、スマートフォンやタブレットで複数の回線を使い分けられる便利な技術です。しかし、その手軽さゆえに、安易に他人と共有してしまうことのリスクについては、十分に認識しておく必要があります。

物理SIMであれば、紛失や盗難の際に物理的にアクセスできなくなるため、ある程度の抑止力があります。しかし、eSIMはソフトウェア的にプロファイルをダウンロードするだけで利用可能になるため、IDとパスワードさえ知っていれば、遠隔地からでも簡単にアクセスできてしまいます。

では、具体的にどのようなリスクが考えられるのでしょうか？

1. 不正利用による高額請求:

最も直接的なリスクは、第三者があなたのeSIMを使って通話やデータ通信を行い、高額な料金が発生する可能性です。特に海外ローミングなどを利用された場合、想像を絶する金額になることもあり得ます。友人や家族に「ちょっとだけ」と軽い気持ちで貸したとしても、その友人がさらに別の人に共有してしまう可能性も否定できません。

2. 個人情報の漏洩リスク:

eSIMに紐づけられた電話番号やデータ通信は、あなたの個人情報と密接に結びついています。第三者があなたのeSIMを使って様々なサービスに登録したり、認証を行ったりすることで、あなたの個人情報が漏洩する危険性があります。クレジットカード情報や銀行口座情報など、機密性の高い情報へのアクセスにつながる可能性も否定できません。

3. なりすまし詐欺のリスク:

あなたのeSIMを使って第三者があなたになりすまし、詐欺行為を行う可能性もあります。たとえば、あなたの電話番号を使って家族や友人に連絡を取り、緊急事態を装ってお金を騙し取ったり、あなたの名前をかたって虚偽の情報を流布したりするかもしれません。

4. 契約違反による利用停止:

多くの通信事業者は、eSIMの利用規約において、契約者本人以外による利用を禁止しています。eSIMを他人に共有したことが発覚した場合、契約違反として回線が停止される可能性があります。

5. 法的責任のリスク:

もし第三者があなたのeSIMを使って犯罪行為を行った場合、あなたは法的責任を問われる可能性も否定できません。特に、詐欺や迷惑行為などに利用された場合、捜査機関から事情聴取を受けたり、損害賠償を請求されたりするリスクがあります。

eSIMは、適切な管理をすれば非常に便利な技術です。しかし、安易に他人と共有することは、上記のような重大なリスクを伴うことを理解しておく必要があります。パスワードの管理を徹底し、eSIMプロファイルをダウンロードできるQRコードやアクティベーションコードは厳重に保管し、絶対に他人に教えないようにしましょう。

万が一、eSIMが不正利用されている疑いがある場合は、速やかに通信事業者へ連絡し、回線停止などの対応を依頼することが重要です。