LiDARとレーザーレーダーの違いは何ですか?

3 ビュー

LiDARはレーザー光を用い、対象物までの距離を精密に計測、高解像度の3D点群データを得る技術です。一方、レーダーは電波を用いて距離と速度を検知し、LiDARより長距離、悪天候下でも機能する点が異なります。要するに、LiDARは精密な3Dマッピングに、レーダーは長距離検知と速度測定にそれぞれ強みを持つ技術です。

コメント 0 好き

LiDARとレーダー:光と電波、それぞれの眼 – 高精度3Dスキャン vs 広範囲検知

LiDAR(Light Detection and Ranging)とレーダー(Radio Detection and Ranging)。どちらも対象物までの距離を測定する技術ですが、その原理と用途は大きく異なります。自動運転技術や測量、環境モニタリングなど、様々な分野で活躍するこれら2つの技術の違いを詳しく見ていきましょう。

LiDAR:光の精密な眼、高解像度3Dの世界を描く

LiDARは、レーザー光を照射し、対象物に反射して戻ってくるまでの時間を計測することで距離を算出します。この技術の最大の強みは、その高い精度にあります。レーザー光は波長が短く、指向性が高いため、細かな形状まで正確に捉えることが可能です。

LiDARによって得られるデータは、3D点群と呼ばれます。これは、対象物の表面にある無数の点の座標情報であり、このデータを解析することで、対象物の形状、大きさ、位置などを精密に把握することができます。

例えば、自動運転車においてLiDARは、周囲の物体(歩行者、車両、標識など)を正確に認識し、安全な走行を支援するために用いられます。また、建設業界では、LiDARを用いて建物の3Dモデルを作成し、設計や施工の効率化を図ることができます。

しかし、LiDARには弱点もあります。レーザー光は、雨や霧などの悪天候下では散乱しやすく、長距離の測定には適していません。また、レーザー光が届かない、透明な物体や、光を吸収しやすい黒色の物体も苦手とします。

レーダー:電波の遠い眼、悪天候でも頼れる存在

一方、レーダーは電波を用いて距離と速度を測定します。電波はレーザー光に比べて波長が長く、悪天候下でも比較的影響を受けにくいため、長距離の検知能力に優れています。

レーダーは、対象物に電波を照射し、反射波を受信することで、距離だけでなく、速度や方向も測定することができます。これは、電波のドップラー効果を利用したもので、移動する対象物の速度を正確に把握することができます。

例えば、航空管制や船舶航行においてレーダーは、遠方の航空機や船舶を早期に発見し、安全な航行を支援するために用いられます。また、気象レーダーは、雨雲の分布や移動速度を観測し、天気予報に役立てられています。

しかし、レーダーはLiDARに比べて精度が劣ります。電波の波長が長いため、細かな形状を捉えることは難しく、3D点群のような高解像度のデータを得ることはできません。

LiDARとレーダー、それぞれの役割

LiDARは、高精度な3Dマッピングに適しており、自動運転、建設、測量など、精緻な空間情報の取得が求められる分野で活躍します。

レーダーは、長距離検知と速度測定に優れており、航空管制、船舶航行、気象観測など、広範囲な状況把握が求められる分野で活躍します。

近年では、LiDARとレーダーを組み合わせることで、それぞれの弱点を補い合い、より高度なセンシングシステムを実現する試みも行われています。例えば、自動運転車においては、LiDARで周囲の物体を詳細に認識し、レーダーで遠方の物体を早期に発見することで、より安全な運転を支援することが可能です。

光と電波、それぞれの特性を活かすことで、LiDARとレーダーは、私たちの生活をより安全で便利にしてくれる、欠かせない技術と言えるでしょう。