ベトナム人の高校進学率は?

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ベトナムでは、大学への進学率は約20~25%と、日本の50%超えと比較して低くなっています。義務教育段階の中学校段階の就学率は約80%ですが、高校段階の就学率は40%と、高等教育への進学には課題が残されています。
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ベトナムの高校進学率:夢と現実の狭間で

ベトナムの経済成長は目覚ましく、ASEAN諸国の中でも特に輝きを放っています。しかし、その光と影には、教育格差という深刻な問題が潜んでいます。大学進学率が日本の半分程度にとどまっていることはよく知られていますが、その土台となる高校段階での進学率にも大きな課題が残されています。

義務教育は小学校5年間と中学校4年間の計9年間ですが、中学校卒業後の進路は大きく二分されます。都市部では高校進学が一般的になりつつありますが、地方、特に農村部では経済的な理由から高校進学を諦める生徒が少なくありません。全国平均の高校進学率は約40%とされており、中学校段階の就学率約80%と比較すると、大きなギャップが存在しています。これは、義務教育を終えた若者の半分しか高校に進学していないという厳しい現実を示しています。

この低い高校進学率の背景には、複雑な要因が絡み合っています。まず挙げられるのは、貧困の問題です。農村部では、子供たちが家計を支えるために労働力として期待されるケースが多く、高校進学にかかる費用が大きな負担となります。授業料だけでなく、教科書代、制服代、交通費など、様々な出費がかさみ、貧困家庭にとっては大きな壁となります。

次に、教育の質の地域格差も大きな問題です。都市部の高校は設備も充実し、優秀な教師陣が揃っていますが、地方の高校では教育環境が整っていない場合も多く、都市部との教育格差が拡大しています。この格差が、地方の生徒たちの学習意欲を削ぎ、高校進学への道を閉ざしてしまう要因の一つとなっています。

さらに、進学に対する意識の差も影響しています。都市部では、大学進学が将来の成功へのパスポートと捉えられ、高校進学は当然の選択とされています。しかし、農村部では、学歴よりも手に職をつけることを重視する傾向があり、高校進学の必要性を感じない家庭も少なくありません。

ベトナム政府も、この問題の深刻さを認識し、様々な対策を講じています。貧困家庭への奨学金制度の拡充や、地方の高校への財政支援、教育の質の向上のための教員研修の実施など、教育機会均等化に向けた取り組みが進められています。しかし、これらの政策の効果が現れるには時間がかかり、根本的な解決には至っていません。

高校進学率の向上は、ベトナムの将来を担う若者たちの可能性を広げるだけでなく、国の経済発展にも大きく貢献します。教育は、貧困の連鎖を断ち切り、より良い未来を築くための強力な武器となるからです。だからこそ、ベトナム社会全体でこの問題に取り組み、すべての若者が教育を受ける権利を保障していくことが重要です。

今後、ベトナムが持続的な発展を遂げるためには、教育への投資を更に強化し、高校進学率の向上に重点的に取り組む必要があります。夢を抱く若者たちが、経済的な理由や地域格差によって進学の機会を奪われることなく、それぞれの才能を伸ばし、社会に貢献できるよう、より一層の努力が求められています。