日本で唯一アプト式列車が走っているのは？

日本で唯一のアプト式列車が走る秘境、大井川鐵道の魅力

日本で唯一、アプト式列車が運行されているのは、静岡県を走る大井川鐵道の一部区間です。蒸気機関車（SL）の運行で有名な大井川鐵道ですが、アプト式列車はそのSL列車とはまた異なる、特別な体験を提供してくれます。

アプト式鉄道とは、急勾配を克服するために開発された特殊な鉄道システムです。線路の中央に設置されたラックレールと呼ばれる歯型のレールに、車両に搭載された歯車（ピニオン）を噛み合わせることで、強力な推進力を得て急勾配を安全に登り降りすることができます。

大井川鐵道のアプト式区間は、アプトいちしろ駅から長島ダム駅までのわずか1.5km。しかし、その短い区間には、日本の鉄道技術の粋が凝縮されています。普通鉄道としては日本一急な90パーミル（1000メートル進むごとに90メートル上昇する勾配）という急勾配を、アプト式機関車が力強く駆け上がっていく様子は圧巻です。

なぜ大井川鐵道にアプト式鉄道が必要だったのでしょうか。それは、長島ダム建設によって線路の一部が水没してしまうため、新たなルートを建設する必要があったからです。しかし、その新たなルートは急峻な地形を避けられず、通常の鉄道技術では運行が困難でした。そこで、かつて信越本線の碓氷峠で使用されていたアプト式鉄道の技術が応用されることになったのです。

アプトいちしろ駅は、アプト式区間の始発駅。ここでは、アプト式機関車が連結される様子を見学することができます。通常、列車は電気機関車に牽引されてアプトいちしろ駅までやってきます。そこで、電気機関車を切り離し、アプト式機関車を連結するのです。この連結作業は、鉄道ファンにとっては見逃せないイベントと言えるでしょう。

アプト式列車に乗車すると、車窓からは雄大な自然が広がります。特に、長島ダム湖の景色は絶景。急勾配をゆっくりと登っていく列車から眺める景色は、まるで絵画のようです。長島ダム駅には、ダムの展望台があり、さらに素晴らしい景色を堪能することができます。

アプト式列車は、ただの移動手段ではありません。それは、日本の鉄道技術の歴史と、大井川の豊かな自然を体感できる特別な旅なのです。SL列車と合わせて、大井川鐵道のアプト式列車に乗車し、他では味わえない感動を体験してみてはいかがでしょうか。

大井川鐵道アプト式列車の見どころ:

• 日本で唯一のアプト式鉄道体験: 珍しい鉄道システムを実際に体験できる貴重な機会です。
• 急勾配を力強く登るアプト式機関車: その迫力に圧倒されること間違いなし。
• 雄大な自然の景色: 長島ダム湖をはじめ、美しい景色が楽しめます。
• アプトいちしろ駅での連結作業見学: 鉄道ファン必見のイベントです。
• 長島ダム展望台からの絶景: 列車から見る景色とはまた違った感動があります。

ぜひ、大井川鐵道のアプト式列車に乗って、特別な旅を体験してみてください。