パスポートは本人確認書類として使えない？

パスポート、本当に本人確認書類として使えない？ 住所記載欄廃止で何が変わったのか

2020年2月4日、日本のパスポートから住所記載欄が姿を消しました。ICチップに住所情報が記録されているとはいえ、パスポートを手にした人からは「これって本人確認書類として使えるの？」という疑問の声が上がっています。結論から言うと、パスポートは本人確認書類として「使える場合もある」というのが現状です。ただし、単独での使用には制限があり、注意が必要です。

以前のパスポートには住所が記載されていたため、運転免許証と同様に本人確認書類として広く利用されていました。しかし、ICチップ導入に伴い、個人情報の保護強化と偽造防止の観点から住所記載欄が廃止されました。これにより、パスポート単体では氏名と生年月日は確認できても、現住所の確認はできなくなりました。

では、具体的にどのような場面でパスポートは本人確認書類として使えないのでしょうか？

最も大きな影響を受けているのが、金融機関での口座開設や携帯電話の契約など、厳格な本人確認が必要な手続きです。これらの手続きでは、氏名、生年月日だけでなく、現住所の確認も必須です。住所記載のないパスポートだけでは要件を満たさないため、公共料金の領収書や住民票など、住所が確認できる別の書類との併用が求められます。

また、アルバイトの採用時などでも、パスポート単体での本人確認を認めないケースが増えています。企業側もコンプライアンス遵守の観点から、確実な本人確認を求める傾向が強まっているためです。

一方で、パスポートが単独で本人確認書類として認められるケースも存在します。例えば、年齢確認が必要な場面、例えば、お酒やタバコの購入時などでは、パスポートで年齢が確認できるため、住所の確認はそれほど重要視されません。また、国内線の飛行機搭乗手続きでも、パスポートは有効な本人確認書類として利用できます。

このように、パスポートが本人確認書類として使えるかどうかは、状況によって異なります。そのため、パスポートを使用する際は、以下の点に注意することが重要です。

1. 住所記載の有無を確認する: 2020年2月4日以前に発行されたパスポートには住所が記載されていますが、それ以降に発行されたパスポートには記載がありません。自分が所持しているパスポートがどちらのタイプなのかを必ず確認しましょう。

2. 必要に応じて補助書類を用意する: 住所記載のないパスポートを使用する場合は、公共料金の領収書、住民票、運転免許証など、住所が確認できる補助書類を用意しておきましょう。特に、金融機関や携帯電話会社など、厳格な本人確認が必要な場面では、補助書類が必須となる場合がほとんどです。

3. 表面・裏面両面の提示を求められる場合もある: パスポートの表面には氏名や生年月日、発行国などの情報が記載されていますが、裏面には所持人記入欄や査証欄など、重要な情報が記載されている場合があります。そのため、表面だけでなく裏面も提示するように求められるケースもあります。

パスポートは貴重な身分証明書であると同時に、国際的な信用も担保する重要な書類です。住所記載欄の有無や利用シーンによる制約を正しく理解し、適切に使用することで、スムーズな手続きと自身の権利保護に繋がります。 曖昧なまま使用せず、事前に確認することで、不要なトラブルを回避できるでしょう。