全席指定のデメリットは？

全席指定席、本当に快適？鉄道会社と利用者の視点から考えるメリット・デメリット

近年、新幹線や特急列車を中心に、全席指定席の導入が広がっている。確かに、確実に座れる安心感や車内の静寂性は魅力的だ。しかし、メリットの一方で、鉄道会社や利用者にとってのデメリットも存在する。今回は、全席指定席の光と影に焦点を当て、その是非について考えてみたい。

鉄道会社側の課題：空席と混雑のアンバランス

全席指定席導入の背景には、収益向上という狙いがある。しかし、皮肉にも、それが新たな課題を生み出す結果となっている。

収益減のリスク: 指定席は、出発時刻ギリギリまで購入できる自由席と異なり、販売期間が限られる。そのため、直前のキャンセルや需要予測の誤りによって空席が発生した場合、その分の収益を失うリスクが高まる。

混雑の偏り: 全席指定にすることで、特定の時間帯や列車に利用者が集中しやすくなる。結果として、乗車率の高い列車とそうでない列車の差が大きくなり、効率的な輸送の妨げになる可能性もある。

乗務員の負担増加: 全席指定席では、乗務員は一人ひとりのチケットを確認する必要があるため、業務負担が増加する。また、不正乗車のリスクも高まり、車内巡回の頻度を増やすなど、更なる対応が必要となる。

利用者にとっての疑問：本当に便利？

利用者にとっても、必ずしも全席指定席が快適とは言えない側面がある。

自由席の混雑緩和につながらない？: 全席指定席の導入により、自由席がある列車に利用者が集中し、混雑が悪化する可能性も指摘されている。自由席を求める乗客が多い場合、全席指定席は混雑緩和に繋がるとは限らないのだ。

利便性の低下: 急な予定変更や乗り遅れの際には、指定席の変更が面倒な場合もある。自由席であれば、乗車する列車を変更するだけで対応できるため、柔軟性に欠けるという意見もある。

全席指定席は万能ではない：多様なニーズに応えるために

以上のように、全席指定席にはメリットだけでなく、鉄道会社、利用者双方にとってデメリットも存在する。重要なのは、画一的な導入ではなく、路線の特性や利用状況に応じて、自由席との組み合わせなどを検討することだろう。多様なニーズに応える柔軟な対応こそが、鉄道の更なる発展には不可欠と言えるだろう。