新幹線のひかりとこだまはどっちが早い?

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東海道新幹線を走る「ひかり」と「こだま」は、停車駅数の違いで速度が異なります。「ひかり」の方が停車駅数が少なく速く、「こだま」は多くの駅に停車するため速度が遅いです。どちらも1964年の開業時から運行されていますが、「こだま」は元々は東海道本線を走っていた特急列車の名を受け継いでいます。 ネーミングは、速さを連想させる「ひかり」と、音速を連想させる「こだま」という対比が絶妙です。

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東海道新幹線を象徴する列車名、「ひかり」と「こだま」。どちらも長年、日本の高速鉄道を支えてきた名車ですが、その速度には明確な違いがあります。多くの人は「ひかり」の方が速いということは知っているでしょうが、その理由や、両列車の歴史的背景、そして運行戦略における役割の違いまで理解している人は少ないかもしれません。本稿では、単に「どちらが速いか」だけでなく、その背景にある理由を深く掘り下げ、両列車の特性を多角的に考察します。

まず結論から言うと、「ひかり」の方が圧倒的に速いです。これは、停車駅数の違いが大きく影響しています。「ひかり」は主要駅にしか停車せず、ノンストップで駆け抜ける区間も多い一方、「こだま」は多くの駅に停車します。東京~新大阪間を比較すると、その差は歴然としています。「ひかり」は最速で約2時間15分程度で走行するのに対し、「こだま」は3時間30分程度を要します。単純な比較では、「こだま」は「ひかり」の約1.5倍の時間を費やしていることになります。この時間差は、停車時間だけでなく、各駅での加減速による速度変化も大きく影響しています。頻繁な停車と発進を繰り返す「こだま」は、常に最高速度に達することができず、平均速度が大きく低下します。一方、「ひかり」は長距離を一気に走行できるため、最高速度を維持できる時間が長く、結果として平均速度が高くなるのです。

しかし、単に速度だけを比較するのは、両列車の役割を理解する上で不十分です。新幹線ネットワーク全体の効率的な運用を考えると、「こだま」の存在は非常に重要です。多くの駅に停車することで、「ひかり」ではアクセスできない地域への利便性を高めています。地方都市や中小都市の住民にとって、「こだま」は新幹線を利用するための重要なアクセス手段であり、地方経済への貢献も無視できません。つまり「こだま」は、高速性よりも、地域へのアクセス向上という役割を担っていると言えるでしょう。

「ひかり」と「こだま」というネーミングも、その特性を的確に反映しています。光のように速い「ひかり」と、こだまのように広く行き渡る「こだま」。この対比は、単なる列車名以上の意味を持ち、新幹線ネットワーク全体の戦略を象徴していると言えるでしょう。

さらに、歴史的な視点からも両列車を考察する必要があります。「こだま」の名は、東海道本線を走っていた特急列車から受け継がれています。これは、新幹線開業以前から続く、長距離輸送の歴史と伝統を継承していることを意味します。一方、「ひかり」は、新幹線の高速性を象徴する名前として名付けられました。このネーミングの違いからも、両列車の持つ役割と歴史的背景の違いが読み取れます。

最後に、今後の新幹線ネットワークの拡大を考えると、「ひかり」と「こだま」の役割はさらに重要になります。人口集中地域への高速アクセスと、地方都市への利便性向上。この二つのニーズを同時に満たすためには、両列車の存在は不可欠であり、それぞれの特性を活かした運行戦略が求められます。単に速さだけでなく、地域社会への貢献という視点からも、「ひかり」と「こだま」の役割を再認識する必要があると言えるでしょう。