新幹線のチケットが2枚ある理由は?

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新幹線乗車券は、乗車券と特急券の2枚のチケットから構成されます。乗車券は乗車区間を示し、特急券は新幹線特急列車の利用権利を示すため別々に発行されます。そのため2枚のチケットが必要となり、乗車時には必ず両方提示しなければなりません。これはシステム上、乗車区間と列車指定を個別に管理するためです。
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新幹線チケットが2枚あるワケ:乗車区間と列車の権利を明確に区別するために

新幹線に乗車する際、乗車券と特急券の2枚のチケットが必要なのは、乗車区間と列車の利用権利を明確に区別し、システムを効率的に運用するためです。単一のチケットで両方を網羅しようとするよりも、乗車券と特急券の2枚体制には、幾つかの重要なメリットが存在します。

まず、乗車区間と列車の指定を明確に管理できる点が挙げられます。乗車券は、出発駅と目的地を特定し、その間に走行する具体的な区間を示します。一方、特急券は、乗車する具体的な新幹線車両(例えば、のぞみ、こだま、ひかりなど)を指定します。もし、乗車券と特急券が1枚に統合されたチケットだと、特定の区間で利用可能な列車の種類が複雑化し、システム管理が煩雑になります。例えば、同じ区間でも、利用可能な列車の種類や料金が異なる場合、1枚のチケットでは、どの列車を利用するのかを詳細に指定する必要があるでしょう。乗車券と特急券を分けることで、これらの情報を個別に管理し、システムの複雑さを軽減し、利用者の混乱を避けられます。

さらに、チケットの有効性を明確に定義し、不正利用を抑制する役割も担っています。乗車券と特急券はそれぞれ独立した有効期限を持ち、乗車駅と列車の出発時刻に紐づきます。もし、乗車券と特急券を1枚にすると、不正利用の機会が増大します。例えば、乗車券だけを不正に複製し、別の列車で利用するといった可能性が生じます。しかし、乗車券と特急券を別々に発行することで、これらの不正利用を抑制し、システムの信頼性を確保します。

また、乗車券と特急券を別々に発行することは、料金の計算と精算を容易にする点も重要です。乗車券は、乗車区間に基づいて算出されます。特急券は、選択した列車の料金に基づいて算出されます。それぞれのチケットで料金を計算することで、正確な料金計算をシステム上で行うことができます。もし、1枚のチケットでこれらの料金を統合しようとすると、システムの処理速度が低下し、精算に時間がかかる可能性があります。

さらに、駅員によるチケットの確認も効率化されます。乗車券と特急券を提示することで、乗客が実際に指定された区間と列車に乗車しているかを、駅員が迅速に確認することができます。この確認プロセスがスムーズに行えることは、乗客の迅速な乗車手続きに貢献します。もし、1枚のチケットだけでこれらの確認を行うと、駅員の業務負担が増大し、乗車の遅延につながる可能性があります。

近年では、ICカードによる乗車券の自動化が進んでいます。それでも、乗車券と特急券を別々に発行する仕組みは、システムの健全性と信頼性を維持するために、引き続き重要です。乗車区間と列車の利用権利を明確に区別し、不正利用を抑制し、料金計算や精算を効率的に行うための、確実なシステムとなっています。