箱根の黒卵を食べると何年長生きできる?

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箱根の大涌谷で食べられる黒たまごは、1個食べれば寿命が7年延びると言われています。その効果は、一体何に基づいているのでしょうか?
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箱根の大涌谷で販売されている黒卵。その独特の黒色と、七年間寿命が延びると言われる言い伝えは、多くの観光客を魅了し続けています。しかし、この「七年間寿命が延びる」という話は、果たしてどこまで科学的な根拠に基づいているのでしょうか?単なる観光客向けのキャッチコピーなのか、それとも何らかの科学的裏付けがあるのか、紐解いていきましょう。

まず、黒卵の黒色の正体ですが、これは大涌谷の温泉に含まれる硫化水素によって、卵殻の成分である硫化鉄が生成されるためです。温泉の熱でじっくりと加熱される過程で、この化学反応が起き、独特の黒い殻が形成されるのです。この硫化水素は、少量であれば人体に影響はありませんが、多量に摂取すると有害なため、黒卵の黒い殻は食べずに、中の卵白と卵黄のみを食べるように注意書きされていることが多いです。

では、「七年間寿命が延びる」という言い伝えは、一体どこから生まれたのでしょうか?明確な起源は特定されていませんが、恐らくは、大涌谷の温泉が持つ健康効果に由来すると思われます。大涌谷の温泉は、古くから様々な効能があると信じられており、その温泉を利用した入浴や飲泉が、健康増進に繋がると考えられていた歴史があります。黒卵は、この温泉を利用して作られるため、「温泉の効能が凝縮されたもの」として、寿命を延ばす効果があると想像された可能性が高いです。

しかしながら、科学的に「黒卵を食べることで寿命が7年延びる」という根拠は、現時点では存在しません。これはあくまでも、古くから伝わる言い伝えであり、一種の縁起担ぎとして捉えるべきでしょう。仮に、温泉成分に含まれるミネラルなどが、健康増進に何らかの効果を持つとしても、それが「7年寿命が延びる」という具体的な数値で示せるほどのものではないことは明らかです。

むしろ、黒卵を「健康に良い」と単純に断言することも難しいです。高タンパク質、高コレステロールな卵であることは間違いなく、食べ過ぎは健康に悪影響を与える可能性があります。適量を楽しみ、健康管理の観点からは、バランスの良い食事を心がけることが重要です。

つまり、「七年間寿命が延びる」という話は、大涌谷の温泉の健康効果への期待と、黒卵のユニークな見た目から生まれた、一種のロマンチックな誇張表現だと考えられます。現実的な健康効果を期待するよりも、箱根の温泉地独特の雰囲気や、観光地ならではの楽しい逸話として楽しむのが、適切な受け止め方と言えるでしょう。 黒卵を食べることで、気分が良くなり、心身のリラックス効果を得られるならば、それはそれ自体で健康に貢献していると言えるかもしれません。しかし、それを数値化して「寿命が延びる」と主張することは、科学的な根拠に欠けていると言えるでしょう。 箱根を訪れた際は、この「七年間寿命が延びる」という言い伝えを楽しみつつ、健康的な旅を心がけてください。