電車が無い県はどこですか?

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徳島県には、鉄道事業法に基づく鉄道(JR、私鉄など)が一切通っていません。そのため、「電車が走っていない県」として知られています。ただし、ケーブルカーやモノレールなどの特殊な鉄道は存在します。

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電車が走っていない県:徳島県、その理由と鉄道空白地の現状

「電車が走っていない県」としてしばしば名前が挙がるのが徳島県です。しかし、この表現は厳密には正確ではありません。なぜなら、徳島県には鉄道事業法に基づく「鉄道」自体が存在しないからです。つまり、JR(四国旅客鉄道)や私鉄といった、一般的に私たちがイメージするような鉄道路線が一切ないのです。

では、なぜ徳島県には鉄道が発達しなかったのでしょうか?その理由を紐解くには、徳島県の地理的条件と歴史的背景を考慮する必要があります。

1. 地理的要因:険しい山々と河川

徳島県は四国の東部に位置し、県土の大部分が山地で占められています。中央部には四国山地が連なり、吉野川などの急流が流れ込みます。これらの地形的な障壁は、鉄道建設を非常に困難にしました。建設費が高騰するだけでなく、維持管理にも多大なコストがかかるため、鉄道事業者の参入を阻む大きな要因となったのです。

2. 歴史的背景:阿波藍と水運の発達

江戸時代、徳島藩は阿波藍の生産で莫大な富を築き上げました。阿波藍は吉野川を利用した水運で大阪などの商業都市に運ばれ、経済発展を支えました。鉄道よりも水運が主要な輸送手段として機能していたため、鉄道整備の必要性が相対的に低かったと考えられます。明治維新後も、藍産業の衰退とともに水運の重要性も薄れましたが、鉄道整備への積極的な動きは起こりませんでした。

3. モータリゼーションの進展と過疎化

戦後、高度経済成長期に入ると、自動車の普及が進みました。徳島県においても例外ではなく、道路網の整備が進み、自家用車やバスによる移動が主流となりました。同時に、過疎化が進み、鉄道利用者の減少が加速しました。このような状況下では、新たに鉄道を敷設するメリットは薄く、既存のバス路線を維持する方が現実的な選択肢となったのです。

鉄道空白地の現状と今後の展望

徳島県のように、鉄道事業法に基づく鉄道が全く存在しない県は全国的にも珍しいケースです。県民の移動手段は、主に自動車やバスに頼らざるを得ません。近年、高齢化が進むにつれて、公共交通の重要性が再認識されていますが、鉄道の復活は依然として困難な状況です。

しかし、全く可能性がないわけではありません。例えば、LRT(次世代型路面電車システム)などの導入を検討する動きも一部で見られます。LRTは建設コストが比較的低く、環境負荷も少ないため、持続可能な公共交通機関として注目されています。

また、観光客の増加に対応するため、既存のバス路線を強化したり、新たな観光ルートを開発したりするなどの対策も重要です。鉄道に限らず、様々な公共交通機関を組み合わせることで、県民の利便性を向上させ、地域経済の活性化につなげていくことが求められています。

徳島県は「電車がない県」として知られていますが、その背景には複雑な要因が存在します。鉄道空白地という現状を理解し、今後の公共交通のあり方を模索していくことが、徳島県の発展にとって不可欠であると言えるでしょう。