2024年の国内旅行需要は?

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2024年7~9月期、日本人による国内旅行消費額は7兆3,360億円と過去最高を記録、2019年同期比で9.6%増、前年同期比でも14.7%増と大幅な伸びを示しました。 コロナ禍からの回復が加速し、国内旅行需要の高まりが明確に示されています。 この勢いは、2024年通年でも継続すると予想されます。

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2024年、国内旅行需要はどこまで伸びる?過去最高額を記録した要因と今後の展望

2024年7~9月期に、日本人による国内旅行消費額が過去最高の7兆3,360億円を記録し、コロナ禍からのV字回復を鮮明に示しました。2019年同期比で9.6%増、前年同期比でも14.7%増という驚異的な数字は、単なるリバウンド需要だけでは説明できない、国内旅行市場の新たな可能性を秘めていると言えるでしょう。

では、この好調な国内旅行需要を支えている要因は何なのでしょうか? そして、この勢いは2024年通年で持続するのでしょうか?

好調な国内旅行需要を支える要因

  • コロナ禍からの解放感と旅行意欲の高まり: 長期間にわたる行動制限や自粛生活を経て、人々の旅行への欲求は非常に高まっています。「今こそ行きたい場所へ行く」という意識が、消費行動を後押ししていることは間違いありません。
  • 円安の影響による海外旅行控え: 円安が進行する中で、海外旅行の費用が高騰しています。そのため、海外旅行を予定していた層が、国内旅行にシフトする傾向が見られます。
  • 地方創生と観光誘致の推進: 各自治体は、地域独自の魅力を発掘し、観光客誘致に力を入れています。GoToトラベルのようなキャンペーンは終了しましたが、それに代わる地域独自の割引キャンペーンやイベントが、旅行需要を喚起しています。
  • ワーケーションやマイクロツーリズムの浸透: リモートワークの普及により、ワーケーション(Workation:仕事と休暇を組み合わせた過ごし方)という新しい旅行スタイルが定着しつつあります。また、近場への小旅行であるマイクロツーリズムも、週末や連休を利用して気軽に楽しめる旅行として人気を集めています。
  • インバウンド需要の回復: 日本を訪れる外国人観光客が増加し、彼らの旅行ルートが地方へも拡大しています。その結果、日本人旅行者も外国人に人気のスポットへ足を運ぶなど、新たな旅行需要が生まれています。

2024年通年の展望と課題

7~9月期の好調な流れを受け、2024年通年でも国内旅行需要は高い水準を維持すると予想されます。特に、年末年始やゴールデンウィークなどの大型連休は、旅行需要が集中するでしょう。

しかし、課題も存在します。

  • 人手不足: 宿泊施設や観光施設における人手不足は深刻であり、サービス低下や価格高騰につながる可能性があります。
  • 物価上昇: 電気代や食料品などの物価上昇は、旅行費用を圧迫し、消費者の旅行意欲を低下させる可能性があります。
  • 気候変動の影響: 異常気象による災害リスクは、旅行計画に影響を与え、旅行先の選定にも影響を与える可能性があります。

今後の国内旅行市場の活性化に向けて

国内旅行需要をさらに活性化させるためには、上記の課題を克服し、新たな取り組みが必要です。例えば、以下のような施策が考えられます。

  • デジタル技術の活用: AIを活用した観光情報提供や多言語対応、キャッシュレス決済の普及などを進めることで、旅行者の利便性を向上させる。
  • サステナブルな観光の推進: 環境負荷を低減し、地域住民との共生を目指すサステナブルな観光を推進することで、持続可能な観光地づくりを目指す。
  • 多様なニーズに対応する旅行商品の開発: 高齢者や障がい者、ファミリー層など、多様なニーズに対応する旅行商品を開発することで、より多くの人々が旅行を楽しめるようにする。

2024年の国内旅行市場は、コロナ禍からの回復だけでなく、新たな成長段階に入りつつあります。上記の要因と課題を考慮しながら、積極的に対策を講じることで、国内旅行市場は更なる発展を遂げる可能性を秘めていると言えるでしょう。