会社の物を勝手に使うとどうなる？

会社の物を勝手に使うとどうなる？ － 気づかぬうちに犯している可能性も

会社の備品、パソコン、文房具、消耗品… 私たちは日常業務の中で、多くの会社所有物を使用しています。しかし、その「使用」の範囲はどこまで許容されるのでしょうか？ そして、その線を越えてしまった場合、どのような法的、倫理的な責任を負うことになるのでしょうか？ 本稿では、会社所有物の私的利用に関するリスクを、具体的な事例を交えながら解説します。

まず、最も重要なのは「会社所有物」の定義を明確にすることです。これは、会社が購入し、所有権を有する全ての物品を指します。パソコン、スマートフォン、事務用品はもちろんのこと、コピー機、冷蔵庫、オフィス家具、さらには会社名が入った名刺やペンに至るまで、全てが含まれます。 一見些細に見えるものも、会社所有物である限り、私的使用は厳禁です。

会社所有物を私的に使用した場合、最も深刻な結果として「窃盗罪」または「業務上横領罪」が成立する可能性があります。 窃盗罪は、他人の物を窃取する行為を指し、業務上横領罪は、業務上預かっている他人の物を横領する行為を指します。 両罪とも、懲役または罰金刑に処せられる重い犯罪です。

これらの犯罪が成立するには、「不法に取得する意図」が必要です。 例えば、会社のペンを1本持ち帰ったとしても、すぐに返すつもりであれば窃盗罪には問われない可能性が高いです。 しかし、故意に持ち帰り、自分のものとして使用し続ける意図があった場合、窃盗罪が成立する可能性が高まります。 同様に、会社の経費で買った物を個人的な用途に使用した場合も、横領罪に問われる可能性があります。

「ちょっとだけ」という気持ちから始まった私的使用も、積み重なると重大な問題となります。 例えば、会社のインターネット回線を私的な動画視聴に使用したり、コピー機で私的な書類を大量にコピーしたりする場合、会社に損害を与えたとみなされ、懲戒解雇や民事上の損害賠償請求の対象となる可能性があります。

さらに、会社の規定によっては、私的使用が禁止されている場合もあります。 会社の就業規則や社内規定をよく確認し、禁止されている行為を理解しておくことが重要です。 規定に反する行為を行った場合、懲戒処分を受ける可能性があります。

では、どの程度の利用であれば問題ないのでしょうか？ 残念ながら、明確な線引きは難しいです。 個々のケースによって判断が異なり、裁判で争われる可能性も十分にあります。 そのため、少しでも疑問を感じたら、上司や人事部などに相談することが最善策です。 曖昧な状態のまま使用を続けることは、大きなリスクを伴います。

最後に、会社の物を私的に使用する行為は、法的な問題だけでなく、倫理的な問題でもあります。 会社の信頼を裏切り、職場環境を悪化させる可能性があります。 会社は、従業員に安心して業務に取り組める環境を提供しています。その信頼を損なう行為は、決して許されるものではありません。 常に会社の財産であるという意識を持って、適切な利用を心がけましょう。 自己判断に迷う時は、必ず相談し、明確な回答を得ることが重要です。 予防策として、会社からの明確な指示、あるいは、会社の規定を理解し、遵守することが、何よりも重要です。