常時雇用者とはどういう意味ですか？

常時雇用者とは？企業を支える継続的な人材という視点

「常時雇用者」という言葉は、人事・労務関連の用語としてよく耳にするものの、その定義は意外と曖昧に感じられるかもしれません。 法律で明確に定義されているわけではないため、企業によって解釈が異なる場合もありますが、一般的には、企業が継続的に雇用する従業員を指します。

重要なのは、その雇用形態ではなく、「継続性」という点です。 正社員はもちろんのこと、パートタイマー、アルバイト、契約社員であっても、企業との雇用関係が一定期間継続している、または期間の定めがない場合は、常時雇用者として扱われます。

なぜ「常時雇用者」という概念が重要なのでしょうか？

それは、企業が人事戦略を立案し、社会保険や労働保険などの適用範囲を判断する上で、非常に重要な指標となるからです。

• 社会保険・労働保険の適用: 常時雇用者は、一定の要件を満たす場合、社会保険（健康保険・厚生年金保険）や労働保険（雇用保険・労災保険）の適用対象となります。 例えば、週の所定労働時間や月の所定労働日数などが基準となります。
• 人事戦略の基盤: 企業は、常時雇用者の数や構成を把握することで、長期的な人材育成計画やキャリアパス制度を設計することができます。 また、従業員の定着率やエンゲージメントを測る指標としても活用できます。
• 企業規模の判断基準: 企業の規模を判断する際に、常時雇用者数が用いられることがあります。 これは、助成金や補助金の申請条件、税制上の優遇措置の適用などに関わってきます。
• 働き方改革への対応: 近年、多様な働き方が推進される中で、パートやアルバイト、契約社員といった非正規雇用の従業員も増加しています。 常時雇用者という概念を正しく理解することで、これらの従業員の待遇改善やキャリアアップ支援を適切に行うことができます。

雇用形態と常時雇用の関係

冒頭でも触れたように、常時雇用者は雇用形態を問いません。

• 正社員: 通常、期間の定めがなく、フルタイムで働く従業員であり、常時雇用者として扱われることがほとんどです。
• パートタイマー/アルバイト: 契約期間が定められている場合でも、更新を繰り返している、または期間の定めがない場合は、常時雇用者となります。
• 契約社員: 契約期間が定められていますが、契約更新を前提としている場合や、反復継続して雇用されている場合は、常時雇用者とみなされることがあります。

「継続性」をどのように判断するのか？

企業によって判断基準は異なりますが、一般的には、以下の要素が考慮されます。

• 雇用期間: 1ヶ月以上継続して雇用されているか。
• 契約更新の状況: 契約が自動的に更新される、または更新を前提としているか。
• 勤務の実態: 雇用契約の内容だけでなく、実際の勤務時間や日数、業務内容なども考慮される。

まとめ

常時雇用者は、企業にとって、単なる労働力ではなく、長期的な成長を支える重要な人材です。 その定義や判断基準を正しく理解し、適切な人事管理を行うことは、企業の持続的な発展に繋がります。 また、従業員一人ひとりが安心して働くことのできる環境を整備する上で、非常に重要な視点と言えるでしょう。