年末調整の遡りは何年まで遡れる？

年末調整の遡及請求、その期限は？ – 過去分の還付を受け取るためのガイド

年末調整を終え、確定申告書を提出した後に「あれ？もっと控除できたはずだ…」と気付くこと、ありませんか？ あるいは、転職や副業の開始などで、過去の年の申告に不備があったことに気が付いた方もいるかもしれません。 そんな時、気になるのは「過去何年分の年末調整を遡って修正できるのか？」ということです。 結論から言うと、所得税の還付請求は、原則として過去5年間遡って行うことができます。 しかし、この「5年間」という期限には、いくつかの注意点があります。 本記事では、年末調整の遡及請求について、その期限や手続き、そしてよくある疑問点について詳しく解説します。

まず、重要なのは「還付請求」という点です。 過少申告による追徴課税は、原則として7年間遡及されますが、これは納税者にとって不利なものです。 一方、還付請求は、納税者にとって有利なため、期間が短くなっています。 つまり、税金を払い過ぎていた場合、過去5年分の過払い分を還付請求によって取り戻すことが可能ということです。

例えば、2022年分の年末調整で、医療費控除の申請を忘れていたとします。 このことに2024年1月に気付いた場合、2024年度中に修正申告を行うことで、2022年分の医療費控除に係る税金の還付を受けることができます。 同様に、2021年、2020年…と、遡って5年間分の修正申告が可能です。 ただし、2018年以前の分については、既に時効を迎えているため、還付請求を行うことはできません。

しかし、「5年間」という期限は、あくまで原則です。 特定の事由によって、この期限が短縮されたり、延長されたりする可能性もゼロではありません。 例えば、税務署の不正行為が判明した場合や、重大な事情が認められる場合などです。 こうしたケースでは、5年を超えて還付請求が認められる可能性もありますが、一般的には、5年を過ぎると請求権は消滅すると考えて良いでしょう。

では、実際に遡及請求を行うにはどうすれば良いのでしょうか？ まず、必要な書類を準備します。 これは、修正申告を行う場合と同様で、確定申告書、源泉徴収票、各種控除に関する証明書などが必要になります。 具体的には、どの年のどの控除項目を申請し忘れたのか、正確に把握しておくことが重要です。 そして、税務署に修正申告書を提出します。 税務署の窓口または郵送で提出できますが、税務署の混雑状況を考慮し、余裕を持った行動を心がけましょう。

さらに、忘れてはならないのが、証拠書類の保管です。 医療費控除であれば領収書、寄付金控除であれば寄付証明書など、控除を受けるために必要な書類は、きちんと保管しておくことが重要です。 これらの書類は、還付請求を行う際に必要となるため、5年間は大切に保管しておきましょう。 デジタルデータで保管する場合も、データの消失に備え、バックアップを取っておくことをお勧めします。

最後に、年末調整の遡及請求は、決して簡単な手続きではありません。 もし、自身で手続きを行うことに不安を感じたり、複雑な内容に戸惑う場合は、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。 専門家の的確なアドバイスを受けることで、スムーズに還付請求を行うことができます。 少しでも疑問があれば、早めに専門家に相談し、安心して手続きを進めましょう。 税金に関する手続きは、早めの対応が重要です。