示談が不成立だとどうなる？

示談が不成立だとどうなる？：法的リスクと対応策

交通事故や傷害事件、近隣トラブルなど、様々な場面で示談交渉が行われます。示談とは、当事者間で話し合い、金銭の支払いや謝罪などによって紛争を解決することを指します。示談が成立すれば、裁判などの法的手続きを経ずに問題を解決できるため、時間や費用を節約でき、精神的な負担も軽減されます。しかし、必ずしも示談が成立するとは限りません。では、示談交渉が不成立になった場合、どのような事態になるのでしょうか。

示談不成立の場合、当事者にはいくつかの選択肢が残されます。大きく分けて、以下の３つの道筋が考えられます。

1. 裁判による解決:

示談交渉が決裂した場合、最も可能性の高い展開は裁判です。民事事件であれば、損害賠償請求訴訟を起こすことになります。裁判では、客観的な証拠に基づき、裁判官が損害額や責任の割合を判断します。示談交渉では当事者間の合意が全てでしたが、裁判では法律に基づいた判断が下されるため、結果が大きく異なる可能性があります。特に、示談交渉で相手方が提示した金額が低すぎる場合や、責任の所在について争いがある場合は、裁判でより有利な判決を得られる可能性があります。

しかし、裁判には時間と費用がかかります。弁護士費用や裁判所への手数料、証人尋問などにかかる費用、そして何よりも判決が出るまでの時間的なコストは無視できません。また、裁判の結果が必ずしも自分の希望通りになるとは限らないというリスクも存在します。

2. 調停・あっせんによる解決:

裁判ほど正式な手続きではないものの、第三者を介して紛争解決を目指す方法として、調停やあっせんがあります。調停は、調停委員が当事者双方の話を聞き、合意形成に向けて助言や斡旋を行います。あっせんは、あっせん委員が当事者間の意見調整を行い、解決案を提示します。これらの手続きは裁判に比べて費用が安く、時間も短縮できます。また、非公開で行われるため、プライバシーが守られるというメリットもあります。

しかし、調停やあっせんで合意に至らなかった場合は、最終的に裁判に移行する可能性が残ります。

3. 放置:

示談交渉が不成立になった場合、泣き寝入りして問題を放置してしまう人もいます。しかし、これはあまりおすすめできません。特に、損害が大きい場合や、相手方の責任が明確な場合は、放置することで損害が拡大する可能性があります。また、時効の問題もあります。一定期間が経過すると、損害賠償請求権が消滅してしまうため、注意が必要です。

示談不成立時の対応策:

示談交渉が不成立になった場合、まずは冷静に状況を分析し、適切な対応策を検討することが重要です。以下の点に注意しましょう。

• 証拠の保全: 事故現場の写真や目撃者の連絡先、医療機関の診断書など、損害を証明するための証拠を確実に保管しましょう。
• 専門家への相談: 弁護士や司法書士など、法律の専門家に相談することで、今後の見通しや適切な対応策についてアドバイスを受けることができます。特に、相手方が示談に応じない理由が不明確な場合や、法的知識が不足している場合は、専門家のサポートが不可欠です。
• 感情的にならない: 示談交渉は、冷静な話し合いが重要です。感情的になって相手を非難したり、無理な要求をしたりすると、交渉がさらに難航する可能性があります。

示談交渉は、当事者双方にとってメリットのある解決方法です。しかし、示談が不成立になった場合は、適切な対応策を講じる必要があります。専門家のアドバイスを受けながら、冷静に状況を判断し、最善の解決策を探しましょう。