避難経路の幅は120cm以上必要ですか?

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JOIFAは、地震対策としてオフィス内の避難経路幅を120cm以上確保することを推奨しています。これは、人が安全かつ円滑に避難できる幅を考慮したものです。人が座った状態では40~50cm、横向きで歩行する場合は45cm以上の幅が必要となるため、これらの要素も考慮して避難経路を設計することが重要です。

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オフィス避難経路、本当に120cm以上必要? その根拠と課題、そして現実的な対策

オフィスにおける避難経路の幅について、JOIFA(日本オフィス家具協会)が120cm以上を推奨しているという情報は、多くの企業にとって気になるポイントでしょう。しかし、「120cm」という数値だけが独り歩きしている現状に、一考の余地があると考えます。

なぜ120cmが推奨されるのか?

JOIFAが120cmを推奨する背景には、複数の要因が考えられます。まず、人が安全かつ円滑に避難できる幅を確保するという目的があります。一般的に、人が座った状態で40~50cm、横向きで歩行する場合は45cm以上の幅が必要とされます。さらに、非常時にはパニック状態に陥る可能性や、怪我をした人が発生する可能性も考慮する必要があります。そうした状況下で、スムーズな避難を促すためには、ある程度の余裕を持った幅が必要となるわけです。また、車椅子利用者の避難も考慮すれば、120cmという幅は妥当な数値とも言えるでしょう。

120cm確保の難しさ – 現実とのギャップ

しかし、実際に全てのオフィスで120cm以上の避難経路を確保することが可能でしょうか?特に、都心部のオフィスや古い建物では、スペースの制約から理想的な幅を確保することが難しい場合も多いでしょう。また、オフィス家具の配置や従業員の増加によって、避難経路が狭まってしまうことも考えられます。

重要なのは「120cm」という数値だけではない

そこで重要なのは、「120cm」という数値に固執するのではなく、より現実的な対策を検討することです。例えば、

  • オフィスのレイアウト見直し: 家具の配置を工夫し、できる限り広い避難経路を確保する。
  • 定期的な避難訓練: 従業員がスムーズに避難できるよう、定期的な訓練を実施する。
  • 避難誘導の徹底: 非常時に誘導を行う担当者を明確にし、適切な誘導方法を周知する。
  • 補助器具の活用: 車椅子利用者のための避難用具(階段昇降機など)を導入する。
  • 従業員への啓発: 避難経路を常に清潔に保ち、物を置かないように従業員に意識づけを行う。

これらの対策を総合的に実施することで、避難経路の幅が120cmに満たない場合でも、安全性を高めることは可能です。

法的な観点

建築基準法や消防法など、避難経路に関する法的な基準は、建物の種類や規模、用途によって異なります。一律に「120cm以上」という規定があるわけではありません。そのため、自社のオフィスがどの法令に準拠する必要があるのかを正確に把握し、専門家(建築士や消防設備士など)に相談することが重要です。

まとめ

オフィスにおける避難経路の幅は、安全な避難のために重要な要素ですが、「120cm」という数値だけに囚われるのではなく、オフィスの状況や法令基準、そして現実的な対策を総合的に考慮することが大切です。従業員の安全を第一に考え、できる範囲で最善の対策を講じることが、企業にとって重要な責任と言えるでしょう。