障害者マークは誰でも使えるのですか?

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障害者マークは、車いす使用者だけでなく、あらゆる種類の障害を持つ人々を対象とした施設・設備を示すものです。 マークは共通のシンボルですが、車いすのイメージから誤解される場合があり、すべての障害者が利用できることを明確に認識する必要があります。
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障害者マーク:誰のための、何のためのシンボル?誤解と真意

街中や施設で見かけることの多い「障害者マーク」。車いすのイラストが描かれたこのマークは、一般的に障害を持つ人が利用できる設備や施設を示すシンボルとして認知されています。しかし、その認識は必ずしも正確ではなく、誤解や偏見が潜んでいることも事実です。本稿では、障害者マークの真意と、その周囲を取り巻く現状について掘り下げて考えていきます。

まず、重要なのは、障害者マークが車いす使用者だけを対象としたものではないという点です。視覚障害者、聴覚障害者、肢体不自由者、知的障害者、精神障害者など、あらゆる種類の障害を持つ人々が利用できる設備や施設を示す共通のシンボルなのです。車いすのイラストは、移動手段に制約のある人を代表的に示しているに過ぎず、そのマークが示すインクルーシブな精神を十分に理解することが不可欠です。

マークのデザイン自体に問題はないのでしょうか。車いすのイラストは視覚的に分かりやすく、多くの人に認識されやすいという利点があります。しかし、同時に、車いす使用者以外の障害を持つ人にとっては、「自分には関係ない」という誤解を生む可能性があります。例えば、視覚障害者にとって、点字ブロックの設置や音声案内システムの有無は非常に重要ですが、これらの設備が必ずしも車いすマークで示されているとは限りません。盲導犬同伴者や聴覚障害者のための設備も、マークだけでは分かりにくい場合があります。

さらに、マークの設置状況も問題視されるべき点です。本来であれば、障害者にとって利便性の高い設備全てにマークが設置されているべきですが、現実には、マークの設置が不十分な場所や、逆に、必要のない場所に設置されているケースも見られます。これでは、マークの信頼性が損なわれ、かえって混乱を招くことになります。

こうした現状を踏まえ、私たちは何をすべきでしょうか。まず、障害者マークが示す意味を正しく理解し、すべての障害を持つ人が利用できる設備・施設を平等に利用できる社会を目指すべきです。単に車いすを使用する人だけではない、多様な障害を持つ人々のニーズを理解し、それぞれの障害に合わせた適切な配慮を行うことが求められます。

そして、行政や施設運営者には、マークの設置状況の点検と改善、更には、マークだけでは分かりにくい設備に関して、より具体的な情報を提供する工夫が求められます。例えば、視覚障害者向けの設備には点字表記や音声案内の情報を併記する、聴覚障害者向けの設備には、図解による案内を追加するなど、多様な情報提供方法の導入が有効でしょう。

最後に、私たち一人ひとりが、障害者マークの意味を正しく理解し、障害を持つ人が快適に生活できるよう、共感と理解をもって接することが重要です。障害を持つ人の存在を認め、彼らが社会参加しやすい環境づくりに積極的に貢献していく姿勢が、真のインクルーシブ社会の実現につながります。単なるマークではなく、その背後にあるインクルーシブな社会への願いを、私たちは常に意識し続けるべきなのです。