PTSDの損害賠償額はいくらですか？

PTSDの損害賠償額：見えにくい心の傷にどう向き合うか

心的外傷後ストレス障害（PTSD）は、生死に関わるような強烈な体験が原因で、誰にでも起こりうる精神疾患です。しかし、その症状は目に見えにくく、周囲に理解されにくいことから、被害者が適切な補償を受けることが難しいケースも少なくありません。特に、PTSDを原因とする損害賠償請求は、その額の算出が複雑で、多くの人が疑問を抱えています。

この記事では、PTSDの損害賠償額について、具体的な事例や算定要素を交えながら、分かりやすく解説します。

PTSDの損害賠償額を左右する要素

損害賠償額は、一概に「いくら」と定めることはできません。なぜなら、個々の状況によって、以下の要素が大きく変動するからです。

• 原因となった出来事: 事故、犯罪被害、災害、ハラスメントなど、原因となった出来事の種類や内容によって、精神的苦痛の度合いが異なります。例えば、生命の危機に瀕するような体験は、より深刻なPTSDを引き起こしやすく、損害賠償額も高くなる傾向があります。
• 症状の程度: PTSDの症状（フラッシュバック、悪夢、過覚醒、回避行動など）の程度や、日常生活への支障の度合いによって、損害賠償額は大きく変動します。医師による診断書や、継続的な治療の記録などが、症状の客観的な証拠となります。
• 後遺障害の有無: PTSDによって、日常生活や就労に支障をきたす後遺障害が残った場合、後遺障害慰謝料や逸失利益が認められることがあります。後遺障害の等級は、自賠責保険によって認定され、その等級によって慰謝料の額が決まります。記事冒頭に記載されている金額は、この後遺障害等級に基づいた慰謝料の目安です。
• 治療費・通院費: PTSDの治療にかかった費用（診察料、薬代、カウンセリング費用など）は、損害賠償の対象となります。領収書や明細書を保管しておきましょう。
• 休業損害: PTSDの症状によって休業せざるを得なくなった場合、その期間の収入減は休業損害として請求できます。給与明細や源泉徴収票など、収入を証明する書類が必要です。
• 弁護士のサポート: 損害賠償請求は、専門的な知識と交渉力が必要です。弁護士に依頼することで、適切な賠償額を獲得できる可能性が高まります。

損害賠償請求の際の注意点

PTSDの損害賠償請求は、精神的な負担が大きいため、一人で抱え込まず、専門機関や弁護士に相談することをおすすめします。

• 証拠の収集: 事故や事件に関する資料、医師の診断書、治療記録、休業損害を証明する書類など、できる限り多くの証拠を集めましょう。
• 時効に注意: 損害賠償請求には時効があります。原因となった出来事から一定期間が経過すると、請求権を失う可能性があります。早めに専門家に相談しましょう。
• 焦らず冷静に: 損害賠償請求は、時間と労力がかかる場合があります。焦らず、冷静に対応することが重要です。

PTSDは、目に見えない心の傷ですが、適切な治療と補償を受けることで、少しでも心の負担を軽減することができます。もしあなたがPTSDに苦しんでいるなら、一人で悩まず、専門家のサポートを求めてください。そして、あなたの苦しみが正当に評価され、適切な賠償を受けられるよう、粘り強く交渉することが大切です。