お電話いただくは正しいですか?

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「お電話いただく」は、相手に電話をしてもらう行為に対して使われますが、この場合は不適切です。「いただく」は恩恵を受ける意味合いを持つため、単に電話をかけてもらう状況にはそぐわないからです。「お電話いただけますか?」や「お電話くださいますか?」などの表現がより自然で適切でしょう。

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「お電話いただく」は本当に正しい? 丁寧語の落とし穴と、より適切な表現

「お電話いただく」という言葉、ビジネスシーンや日常生活で耳にすることがあるかもしれません。しかし、「お電話いただく」は、相手に電話をかけてもらう行為に対して常に適切な表現とは言えません。丁寧な言葉遣いを心がけるあまり、かえって不自然な印象を与えてしまう場合があるのです。

一体なぜ「お電話いただく」が適切ではないケースがあるのでしょうか? それは、敬語の構造と、言葉が持つ意味合いに深く関わっています。

「いただく」は、謙譲語の一つであり、相手から何かをしてもらうことによって自分が恩恵を受ける、というニュアンスを含んでいます。例えば、「資料をいただく」「お土産をいただく」など、相手の行為によって自分が利益を得る場合に自然に使われます。

しかし、電話をかけてもらう行為は、必ずしも自分が恩恵を受けるとは限りません。相手に電話をかけてもらうことは、単なる連絡手段であり、双方向のコミュニケーションの始まりに過ぎない場合も多いのです。

このような状況で「お電話いただく」を使用すると、相手に電話をかけること自体が自分にとって特別な恩恵である、というニュアンスを含んでしまい、慇懃無礼な印象を与えてしまう可能性があります。

では、どのような表現がより適切なのでしょうか?

最も一般的なのは、「お電話いただけますか?」という表現です。これは、依頼の意を込めた丁寧な言い方であり、相手に負担をかけることを意識した表現です。相手に電話をかけるかどうかを委ねるニュアンスを含んでいるため、幅広い状況で使用できます。

また、「お電話くださいますか?」という表現も適切です。「くださる」は尊敬語であり、相手が自分に対して何かをしてくれることを敬う意味合いを持ちます。こちらも依頼の意を含みつつ、相手への敬意を示すことができるため、ビジネスシーンなどでも安心して使用できます。

さらに、状況によっては「ご連絡いただけますか?」という表現も有効です。これは、電話だけでなく、メールや手紙など、様々な連絡手段を含んだ表現であり、より柔軟な対応を求める場合に適しています。

例えば、

  • 「詳細につきましては、お電話いただけますでしょうか?」 → 丁寧な依頼の表現。
  • 「明日、お電話くださいますか?」 → 相手に敬意を示しつつ、明日の電話を依頼する表現。
  • 「ご都合の良い時間に、ご連絡いただけますでしょうか?」 → 電話に限らず、相手に都合の良い連絡手段を委ねる表現。

このように、状況や相手との関係性に合わせて適切な表現を選ぶことが重要です。

丁寧な言葉遣いは大切ですが、言葉の持つ意味を理解し、相手に失礼のない、より自然な表現を心がけることで、円滑なコミュニケーションを築くことができるでしょう。「お電話いただく」という表現も、状況によっては適切に使用できる場合もありますが、上記の点を踏まえて、より適切な表現を選択するようにしましょう。