問診で聞くべきことは何ですか？

問診で「聞くべきこと」：症状の深掘りと患者背景の理解

問診は、患者さんの抱える問題を明らかにし、適切な診断・治療へと繋げるための重要な第一歩です。表面的な症状を聞き出すだけでなく、患者さんの全体像を捉えることを意識することで、より的確な情報収集が可能になります。

上記で述べられているように、「いつから」「どこが」「どのように」 悪いのかを詳細に尋ねることは基本中の基本です。しかし、これらに加えて、以下の点も意識することで、より深い問診が可能になります。

1. 症状の深掘り：多角的な視点から症状を捉える

• 具体的な状況: 症状が出現する具体的な状況（時間帯、場所、特定の動作、食事の後など）を尋ねることで、原因や悪化因子を特定する手がかりになります。「朝起きた時だけ痛む」「階段を上るときに息苦しくなる」など、具体的な状況を把握することで、診断の精度を高めることができます。
• 症状の変化: 症状が時間経過とともにどのように変化してきたのかを尋ねます。良くなったり悪くなったりするパターン、徐々に悪化しているのか、急激に悪化したのかなどを把握することで、疾患の進行度合いや性質を推測することができます。
• 随伴症状: 主訴に関連する他の症状がないかを尋ねます。例えば、頭痛であれば、吐き気、めまい、視覚異常の有無などを確認します。随伴症状は、鑑別診断において非常に重要な情報となります。
• 症状の強度: 痛み、痺れ、倦怠感などの症状の強度を、数値や具体的な表現を用いて尋ねます。「痛みを10段階で表すとどれくらいですか？」「日常生活にどれくらい支障が出ていますか？」など、客観的な評価を試みることで、症状の重症度を把握することができます。

2. 患者背景の理解：症状を文脈の中で捉える

• 既往歴: 過去に罹患した病気、手術歴、アレルギーの有無などを確認します。過去の病歴が現在の症状に影響を与えている可能性も考慮する必要があります。
• 生活習慣: 食生活、睡眠時間、運動習慣、喫煙・飲酒の有無などを尋ねます。生活習慣病との関連性や、生活習慣の改善による症状緩和の可能性を検討します。
• 家族歴: 家族に特定の病気を持っている人がいるかどうかを確認します。遺伝的な要因が関与している可能性のある疾患を考慮する必要があります。
• 職業: 仕事内容や労働環境を尋ねます。仕事が症状の原因となっている可能性や、治療の妨げになる可能性などを検討します。
• 精神的な状況: ストレス、不安、抑うつなどの精神的な問題を抱えていないかを確認します。精神的な状態が身体症状に影響を与えている可能性も考慮する必要があります。

3. コミュニケーション：信頼関係を築き、情報を引き出す

• 傾聴: 患者さんの話を注意深く聞き、共感的な態度を示します。
• 質問の仕方: 誘導的な質問は避け、オープンな質問を心がけます。
• 理解度の確認: 患者さんが理解しているかを確認しながら、丁寧に説明します。
• 非言語的コミュニケーション: 表情、態度、声のトーンなどにも注意を払い、患者さんが安心して話せる雰囲気を作ります。

問診は、単なる情報収集の場ではありません。患者さんとの信頼関係を築き、患者さんの抱える問題を共有する場でもあります。上記のような点を意識することで、より質の高い問診を行い、患者さんの治療に貢献できるはずです。