エステに行く人の割合は？

エステ利用者の実態：6割という数字の裏側と、未来への展望

ホットペッパービューティーの調査によると、生涯に一度でもエステを利用したことがある人の割合は約6割に達するという結果が出ています。この数字は、日本の美容市場の成熟度と、人々の美容に対する意識の高さを示す一つの指標と言えるでしょう。しかし、この「6割」という数字は、一見すると高いように見えても、その実態を深く掘り下げていくと、興味深い事実が見えてきます。

まず、この数字は「生涯に一度でも利用したことがある」という点に注意が必要です。つまり、一度だけフェイシャルエステを受けただけで、以降は利用していない人も含まれているということです。実際、定期的にエステに通っている人は、この6割よりもはるかに少ないと考えられます。 仮にこの6割のうち、年間1回以上エステを利用している人を3割としたとしても、それは人口の18％に過ぎません。残りの42％は、特別な機会や、肌のトラブルを抱えた時などに、スポット的に利用している層でしょう。

では、なぜ一度はエステを利用する人が多いにも関わらず、継続利用率は低いのでしょうか？いくつかの要因が考えられます。

一つ目は、価格の高騰です。エステの施術は、種類や回数によって価格が大きく変動します。高額なコースを契約する場合、経済的な負担が大きく、継続が困難になるケースも少なくありません。特に、若い世代や、子育て中の世代にとっては、高額なエステ費用を捻出することは容易ではありません。

二つ目は、効果の感じにくさです。エステの効果は、個人差が大きく、すぐに目に見える結果が出るとは限りません。継続して通うことで効果を実感できるものも多いですが、短期的な効果を期待して利用した人が、期待外れに感じてしまうケースも少なくありません。

三つ目は、時間の制約です。エステを受けるには、予約を取り、サロンへ行き、施術を受ける時間が必要になります。忙しい現代人にとって、この時間は貴重であり、継続的に時間を確保することが難しいという理由から、通院を断念する人もいるでしょう。

四つ目は、サロン選びの難しさです。数多くのエステサロンが存在する中で、自分に合ったサロンを見つけることは容易ではありません。料金、施術内容、スタッフの対応など、様々な要素を考慮してサロンを選ぶ必要があり、その過程で挫折してしまう人もいるでしょう。

しかし、一方でエステ市場は依然として成長が見込まれます。その背景には、男性客の増加や、新しい技術・機器の開発、多様化するニーズへの対応などがあります。例えば、男性向けのエステメニューの充実や、リーズナブルな価格帯のサロンの増加、オンライン予約システムの普及などは、より多くの人がエステを利用しやすくなる要因となっています。

今後、エステ業界は、価格設定の見直し、効果を実感しやすい施術の開発、顧客とのコミュニケーションの強化、そして、個々のニーズに合わせた柔軟なサービス提供などが求められるでしょう。6割という数字は、大きなポテンシャルを示唆していますが、そのポテンシャルを最大限に発揮するためには、業界全体の努力が必要不可欠です。 単なる「利用経験」から、「継続的な利用」へとシフトさせることが、今後のエステ業界の課題であり、同時に大きな成長の機会と言えるでしょう。