床屋さんのくるくるは何ですか？

床屋さんのくるくる：サインポールの奥深き意味と歴史

街角でくるくると回転し続ける、赤・白・青の縞模様が印象的なサインポール。誰もが一度は目にしたことがあるでしょう。これは単なる飾りではなく、理容店のシンボルとして、深い歴史と意味を持つものです。

このサインポール、日本語では「サインポール」と呼ばれるのが一般的です。その起源は中世ヨーロッパに遡ります。当時、理容師は外科医の役割も担っており、散髪だけでなく、瀉血（しゃけつ）と呼ばれる治療行為も行っていました。瀉血とは、体内の悪い血を抜くことで病気を治すという考え方に基づく治療法です。

サインポールの赤色は、この瀉血の際に使用した血液の色を表していると言われています。患者が出した血で染まった包帯を、洗い流して店の前に干していた様子を模したという説が有力です。そして、白色は清潔さを表す包帯の色、青色は血管を表しているという説があります。

時代が下るにつれ、理容師と外科医の役割が分離されるようになりますが、サインポールは理容店を示すシンボルとして残り続けました。アメリカでは、独立戦争後に愛国心を表現するために、赤、白、青の３色を使用するようになったとも言われています。

現代のサインポールは、電動で回転するものがほとんどですが、その回転にも意味があると言われています。一つは、血液が流れ出す様子を表しているという説。もう一つは、人々の目を惹きつけ、理容店であるということを知らせるための工夫であるという説です。

日本においては、明治時代に西洋の理髪技術が導入された際に、サインポールも一緒に持ち込まれたと考えられています。当初は輸入品が多かったようですが、次第に国内でも製造されるようになり、現在では街の風景に欠かせない存在となりました。

サインポールは、理容店の象徴として、ただ回っているだけではありません。その背後には、医学と理容の歴史、人々の健康への願い、そして時代とともに変化してきた文化が詰まっているのです。次にサインポールを見かけた際には、その深い意味を思い浮かべてみてはいかがでしょうか。単なる看板以上の、歴史と伝統を伝えるメッセージとして、サインポールの回転がより一層興味深く感じられるかもしれません。