眉アートをしているとMRI検査ができないのはなぜですか？

眉アートとMRI検査の相克：磁場と金属の危険性

近年、眉毛を美しく整えるための施術として眉アートの人気が高まっています。微細な針を用いて色素を注入するこの施術は、自然で美しい眉毛を長時間維持できることから、多くの女性に支持されています。しかし、この眉アートが、医療検査、特にMRI検査を受ける際に大きな問題を引き起こす可能性があることは、あまり知られていません。

MRI（磁気共鳴画像法）検査は、強力な磁場と電磁波を用いて人体内部の画像を撮影する高度な医療技術です。この技術は、脳腫瘍や心臓疾患などの診断に不可欠であり、現代医学において重要な役割を果たしています。しかし、この強力な磁場が、眉アート施術に使用される金属成分と反応し、深刻な危険性を招く可能性があるのです。

眉アートで使用される顔料の中には、酸化鉄などの金属成分が含まれているものが少なくありません。これらの金属成分は、MRI装置が発する強力な磁場によって影響を受けます。具体的には、以下のリスクが考えられます。

• 移動・変位: 磁場の影響で、皮膚に注入された金属粒子が移動したり、変位したりする可能性があります。これは、眉の形が歪むだけでなく、皮膚への損傷や炎症を引き起こす可能性があります。微細な針で注入された色素は、皮膚組織に比較的定着しやすいとはいえ、MRIの強力な磁場により、想定外の動きをする可能性を否定できません。

• 発熱: 金属粒子が磁場によって振動し、ジュール熱と呼ばれる熱が発生する可能性があります。これは、局所的なやけどや、皮膚組織の損傷につながる危険性があります。この発熱は、MRI検査中の時間や磁場の強さに比例して増加する可能性があり、深刻な事態を招く可能性も無視できません。

• 画像の歪み: 金属成分の存在は、MRI画像の質を著しく低下させます。金属からのアーティファクト（人工的なノイズ）によって、正確な診断を妨げる可能性があります。特に脳や顔面部の精密な検査が必要な場合、眉アートによる金属粒子が診断の精度を大きく損なう可能性があります。医師は、正確な画像を得るために、金属成分の影響を考慮した上で、検査方法を選択するか、別の検査方法を選択する必要が生じます。

• 装置の故障: 非常に稀なケースですが、大量の金属粒子がMRI装置の機能に影響を与え、装置の故障につながる可能性も否定できません。これは、医療機器の安全性の観点からも、重大な問題となります。

これらのリスクは、眉アート施術後すぐにMRI検査を受ける場合に特に高くなります。色素がまだ皮膚に定着しきっておらず、磁場による影響を受けやすい状態であるためです。もちろん、施術後年数が経過している場合でも、金属粒子の存在はMRI検査に影響を与える可能性があります。

したがって、眉アートの施術を受けた方は、MRI検査を受ける前に必ず担当医にその事実を伝えることが重要です。医師は、患者の病状とMRI検査の必要性を考慮し、検査の可否、あるいは代替検査方法について適切な判断を下します。眉アートとMRI検査の両立は難しい場合が多く、事前告知による適切な対応が、安全かつ正確な検査の実施に繋がります。 自己判断で検査を受けることは、健康を損なうリスクを伴うことを理解しておきましょう。