パパイヤ期はなぜ来る?

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パパイヤ期は、子どもがママに安心を求めたいという気持ちを表す時期です。 つまり、イヤイヤ行動の多くは、この「ママ大好き期」によるものと言えるでしょう。 成長の過程で感じる不安や変化への対応として、親への依存心が強まる時期なのです。

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パパイヤ期、という呼び名は耳慣れないかもしれませんが、多くの母親が経験し、そして悩まされる「ママ大好き期」を指す、比較的新しい表現です。 「イヤイヤ期」と混同されることもありますが、単なる反抗期とは異なる、より深く根付いた親への依存と安心を求める時期と言えるでしょう。では、なぜこの「パパイヤ期」と呼ばれる時期が訪れるのでしょうか?その背景には、子どもの発達段階における複数の要因が複雑に絡み合っています。

まず、最も重要なのは子どもの認知能力の発達です。乳幼児期から幼児期にかけて、子どもは急速に自我意識を確立していきます。自分の意志や感情を持つ存在として、世界を認識し始めます。同時に、自分が親と分離した独立した存在であることを理解し始めます。この「分離・個体化」のプロセスは、子どもにとって大きな葛藤をもたらします。 これまで無条件の愛情と安心を与えてくれた親から離れて、一人で行動することへの不安、そして親の愛情が自分に向けられているという保証がないという不安が芽生えるのです。

この不安は、行動として「ママ大好き!」という顕著な愛情表現や、逆に「ママじゃないとイヤ!」という強い要求として現れます。 一見、甘えやわがままに見える行動の裏側には、親への深い愛情と、同時に親からの分離への恐怖が潜んでいるのです。 彼らはまだ、自分の感情を言葉でうまく表現することができません。そのため、行動を通して、自分の不安や恐怖を伝えようとするのです。 例えば、ママから離れると泣き叫んだり、ママの手を離さなかったり、ママ以外の人には全く心を許さないといった行動は、すべてこの不安の表れと言えるでしょう。

さらに、パパイヤ期の到来には、環境の変化も大きく影響します。保育園や幼稚園への入園、兄弟姉妹の誕生、引っ越しなど、子どもの生活環境に変化が訪れると、彼らは慣れ親しんだ安全な空間を失ったように感じます。この不安定な状況の中で、親、特に母親は、子どもにとって唯一の拠り所となるのです。 つまり、パパイヤ期は、環境の変化に対する一種の適応反応と言えるかもしれません。 未知の世界への不安を乗り越えるために、彼らは母親という安心できる存在に強くしがみつくのです。

また、発達心理学の視点から見ると、パパイヤ期は、アタッチメント理論と関連づけて理解することができます。アタッチメント理論とは、子どもと親との間の初期の愛着関係が、子どもの社会性や情緒の発達に大きな影響を与えるという理論です。安全なアタッチメントを築いた子どもは、探索行動を積極的に行い、新たな経験にも柔軟に対応することができます。しかし、不安定なアタッチメントを経験した子どもは、分離不安が強く、親への依存度も高くなる傾向があります。

パパイヤ期は、決して問題行動ではありません。子どもが成長の過程で経験する、自然な発達段階の一つです。親は、子どもの不安を受け止め、優しく寄り添いながら、少しずつ自立を促していくことが大切です。 無理強いせず、子どものペースに合わせて、安心して探索行動ができる環境を整えてあげることが、この「パパイヤ期」を乗り越える鍵となるでしょう。 この期間を乗り越えることで、子どもはより自立し、自己肯定感を高めていくことができるのです。