揺さぶり症候群はどれくらい揺さぶると起こりますか?

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乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)の発症には、激しい揺さぶりが短時間でも危険です。具体的には、1秒間に2~3回以上の往復運動を5~10秒間継続することで、脳に深刻な損傷を与える可能性があります。 これはあくまで目安であり、個々の状況により発症の危険度は変化します。

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乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)は、乳幼児を激しく揺さぶることで脳に重篤な損傷を与える可能性のある、恐ろしい傷害です。 「どれくらい揺さぶると起こるのか?」という問いへの明確な答えは存在せず、それがSBSの恐ろしさ、そして予防の難しさに繋がっています。 なぜなら、発症の閾値は、揺さぶりの強さ、持続時間、乳幼児の年齢や体格、そしてその時の健康状態など、多くの要因に依存するからです。 単に「何回揺さぶったか」という数値だけでは、SBSの発症リスクを正確に予測することはできません。

先述の「1秒間に2~3回以上の往復運動を5~10秒間継続」という記述は、あくまで一般的な目安であり、実際にはもっと軽い揺さぶりでも、乳幼児によってはSBSを発症する可能性があります。 これは、乳幼児の脳は未発達で、大人に比べて脳と頭蓋骨の間の空間(くも膜下腔)が大きく、脳が自由に動くため、激しい揺さぶりに非常に脆弱だからです。 大人ならば耐えられる程度の揺さぶりでも、乳幼児の脳には致命的なダメージを与える可能性があるのです。

想像してみてください。 小さな赤ちゃんを抱き上げた時、不意に転倒しそうになり、咄嗟に赤ちゃんを強く抱きしめたとします。 その瞬間の強い衝撃、急激な加速と減速が、脳に深刻な損傷を与えている可能性があるのです。 また、遊びの最中に、興奮して赤ちゃんを強く揺さぶる行為も、危険です。 一見、優しく揺さぶっているように見えても、乳幼児の脳にとっては大きな負担になっている可能性があります。

さらに考慮すべき点は、揺さぶりの「回数」だけでなく、「加速度」です。 同じ回数でも、より強く、より速く揺さぶれば、それだけ脳へのダメージは大きくなります。 赤ちゃんは、大人と違って首を支える筋肉が発達していません。 そのため、揺さぶられた際に首が強く振られ、脳が頭蓋骨の内壁に激突する可能性が高いのです。 この衝撃によって、脳挫傷、脳出血、網膜出血などが発生し、最悪の場合、死に至ることもあります。 また、症状はすぐに現れない場合もあり、一見元気な赤ちゃんでも、後に重度の後遺症が残る可能性も考慮しなければなりません。

そのため、SBSの予防においては、「絶対に揺さぶらない」ということが最も重要です。 赤ちゃんが泣き止まない、機嫌が悪いといった時でも、揺さぶる代わりに、抱きしめたり、優しく声をかけたり、おむつを交換したり、他の対処法を試みるべきです。 もし、赤ちゃんが激しく泣き叫んでいて対処に困る場合は、落ち着いて周りの人に助けを求めるか、専門機関に相談することが大切です。 SBSは、一度発症すれば回復が困難な場合が多く、予防こそが唯一の治療法と言えるでしょう。 赤ちゃんを安全に守るために、正しい知識と冷静な判断を常に心がけなければなりません。