上りの車と下の車どちらが優先ですか？

狭い坂道、譲り合いの精神で安全を確保！上り優先の原則とその例外

狭い坂道での対向車との遭遇。運転経験がある方なら、一度はヒヤッとした経験があるのではないでしょうか？特に、道幅が狭く、すれ違いが困難な場所では、どちらが優先的に進むべきか迷うことも少なくありません。一般的には「上り優先」という言葉が知られていますが、これは本当に絶対的なルールなのでしょうか？

確かに、原則として狭い坂道では上りの車が優先されます。その理由はいくつか挙げられます。

• 下り坂の方が停止・発進が容易であること： 下り坂は重力によって自然と車が動き出すため、停止からの発進が上り坂に比べて容易です。上り坂での発進は、エンジンへの負担も大きく、特にマニュアル車の場合、エンストのリスクも高まります。
• 上りの車の方がより多くのエネルギーを消費していること： 上り坂を走行する車は、重力に逆らって進むため、より多くのエネルギーを消費しています。途中で停止すると、再発進にさらに大きなエネルギーを必要とし、場合によっては坂道発進が困難になることもあります。
• 心理的な負担の軽減： 上り坂での停止は、後退の不安や焦りを生みやすく、運転者の心理的な負担が増加します。

これらの理由から、上りの車に道を譲るのがマナーとされ、多くの人が実践しています。しかし、これはあくまで原則であり、状況によっては例外も存在します。

例えば、以下のようなケースでは、上りの車が下りの車に道を譲る方が安全な場合があります。

• 下りの車の方が、待避所（すれ違いができるスペース）に近い場合： 下りの車が、上りの車よりも待避所に近い場合、少し下がるだけでスムーズなすれ違いが可能になります。このような場合は、上りの車が無理に進行するよりも、下りの車が譲る方が時間的にも安全面でも効率的です。
• 上りの車の運転者が、運転に不慣れな場合： 特に運転免許を取得して間もない初心者ドライバーや、高齢ドライバーの場合、上り坂での発進操作に不安を感じている可能性があります。このような場合、無理に優先権を主張するよりも、下りの車が譲ることで、事故のリスクを減らすことができます。
• 上りの車の車両が、大型車両である場合： 大型車両は、小回りが利かないため、狭い坂道での取り回しが困難です。対して、下りの車が小型車であれば、比較的容易にバックして道を譲ることができます。
• 路面状況が非常に悪い場合： 雨天時や積雪時など、路面状況が悪い場合、上り坂での発進はスリップのリスクが高まります。このような状況では、下りの車が譲ることで、事故を防ぐことができます。

このように、狭い坂道での優先順位は、一概に「上り優先」と言い切れるものではありません。大切なのは、状況に応じて臨機応変に対応し、安全を最優先に考えることです。

お互いに譲り合いの精神を持ち、アイコンタクトや合図などを活用して、スムーズなすれ違いを心がけましょう。また、狭い坂道では、スピードを控えめにし、対向車の存在に常に注意を払うことが重要です。

狭い坂道は、運転技術だけでなく、思いやりと判断力が試される場所でもあります。安全運転を心がけ、快適なドライブを楽しみましょう。