歩行者にハイビームは違反ですか？

歩行者へのハイビーム、それって違反？意外と知らないライトのマナー

夜道を運転中、対向車がいなければハイビームで走行するドライバーは多いでしょう。確かに視界は広がり、危険の早期発見につながります。しかし、歩行者に対してハイビームのまま走行するのは、実は大きな問題をはらんでいます。

道路交通法では、対向車だけでなく、歩行者に対してもハイビームを適切に切り替える義務が定められています。「他の交通を妨げるおそれがある場合」には、ハイビームの使用を控える必要があるのです。つまり、歩行者が眩しさを感じている、または感じる可能性がある場合は、ロービームに切り替えるべきなのです。

歩行者の立場を考えてみましょう。突然強力な光を浴びせられたら、どう感じるでしょうか？一瞬視界が白くなり、方向感覚を失ってしまうかもしれません。特に、高齢者や視力の弱い方にとっては、深刻な危険につながる可能性があります。夜道は暗く、周囲の状況を把握しづらい環境です。そこにハイビームの強い光が加われば、歩行者はさらに不安を感じ、安全な歩行を妨げられるでしょう。

ハイビームのまま歩行者に接近することは、単なるマナー違反ではなく、れっきとした交通違反となり得ます。具体的には、「減光義務違反」に該当し、普通車の場合、違反点数1点、反則金6,000円の罰則が科せられます。これは対向車に対する場合と同じです。歩行者に対するハイビームは軽視されがちですが、事故につながる可能性のある危険な行為であることを認識しなければなりません。

では、具体的にどのような場合にハイビームをロービームに切り替えるべきでしょうか？ 一つの目安として、歩行者とすれ違う約30メートル手前で切り替えることが推奨されています。また、歩行者だけでなく、自転車やバイクに対しても同様の配慮が必要です。 さらに、街灯が少ない暗い道では、ハイビームで遠くを確認しつつも、歩行者や自転車等を認識したらすぐにロービームに切り替える習慣をつけましょう。

ハイビームとロービームの切り替えは、単なる法律の遵守だけでなく、相手への思いやりを示す大切な行動です。歩行者の安全を確保し、安心して歩ける環境を作るためには、ドライバー一人ひとりの意識改革が必要です。 「もしかしたら眩しいかもしれない」と少しでも思ったら、迷わずロービームに切り替えましょう。

さらに、ハイビームの適切な使用は、自身の安全運転にも貢献します。ロービームに切り替えることで、歩行者や自転車の存在をより早く正確に認識できるようになり、事故の未然防止につながります。

「自分は大丈夫」という過信は禁物です。 交通ルールを遵守し、歩行者への配慮を忘れずに、安全で快適な夜間走行を心がけましょう。 小さな心遣いが、大きな事故を防ぐことに繋がるのです。 ライトの使い方一つで、周りの人への思いやりを表現し、より安全な交通社会を築いていきましょう。