T字路 右折 どちらが優先？

T字路の右折：譲り合いの精神と安全確認が最優先

T字路における右折車の優先順位は、一見すると道路交通法の原則に則って判断できそうですが、実際には状況によって判断が分かれる微妙な問題を含んでいます。単純に「T字路の上側から来る車が優先」と決めつけてしまうと、思わぬ事故につながる可能性もあります。

たしかに、道路交通法第36条には「交差点において、その通行している道路と交わる道路を左方に見ながら進行しようとする車両等は、その交差点に入ろうとする他の車両等の進行を妨げてはならない」という規定があり、一般的にはT字路の「上」から進入する車両が左方優先となります。しかし、これはあくまで原則であり、例外も存在します。

例えば、以下のケースを考えてみましょう。

• 明らかに右折車Aの方が先に交差点に進入し、右折を開始している場合: この場合、後から進入してきた右折車Bは、Aの右折を妨げてはなりません。これは、先に交差点に進入した車両の通行を優先する「先入優先」の考え方に基づきます。
• 右折車Aが一時停止標識に従わず、速度を落とさずに進入してきた場合: この場合、一時停止を無視したAに過失が生じる可能性が高くなります。
• 道路幅に著しい差がある場合: T字路を構成する道路の幅が著しく異なる場合、広い道路を通行する車両が優先されることがあります。ただし、これは道路の状況や標識などによって判断が分かれるため、慎重な判断が必要です。

これらのケースからわかるように、T字路における右折の優先順位は、状況に応じて柔軟に判断する必要があります。道路交通法を杓子定規に解釈するのではなく、以下の点を意識することで、より安全な運転を心がけましょう。

• 安全確認の徹底: 左右の安全をしっかりと確認し、歩行者や自転車など、他の交通への注意を怠らないようにしましょう。
• 譲り合いの精神: 状況に応じて、相手に道を譲ることも重要です。無理な進入は事故につながるだけでなく、交通の流れを悪化させる原因にもなります。
• 速度の調整: 交差点に進入する際は、速度を十分に落とし、いつでも停止できる態勢を整えておきましょう。
• 標識や道路標示の確認: 標識や道路標示をしっかりと確認し、安全運転を心がけましょう。

T字路は、構造上、見通しが悪くなりやすい場所です。そのため、右折時には特に注意が必要となります。道路交通法を理解することはもちろん重要ですが、それ以上に、常に安全意識を持ち、譲り合いの精神で運転することが、事故を防ぐ上で最も重要なことと言えるでしょう。安易な判断は避け、状況に応じた適切な行動を取ることで、安全でスムーズな交通の流れに貢献しましょう。