ベトナムの平均収入は2024年にいくらですか?

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2024年におけるベトナムの平均月収は、760万VND(約4万5500円)と推定されています。これは前年同期比7.2%の増加です。ただし、これは最低限の生活を確保するために必要な金額ではありません。

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2024年、ベトナムの平均収入の実態:数字の裏に潜む格差と課題

「2024年におけるベトナムの平均月収は760万VND(約4万5500円)と推定されています。これは前年同期比7.2%の増加です。」 このように報道されることが多いベトナムの平均収入ですが、この数字だけを見てベトナム経済の実情を理解するのは早計です。一見すると右肩上がりに見える経済成長の裏には、深刻な地域間格差、都市部と農村部の生活水準の差、そしてインフレによる実質的な購買力の低下といった課題が潜んでいます。

まず注目すべきは、平均値という数字の持つ曖昧さです。ベトナムは南北に長く、地形や気候、産業構造が地域によって大きく異なります。ホーチミン市やハノイといった都市部では、グローバル企業やIT産業の進出により高収入を得る層が存在する一方で、農村部では農業や漁業に従事する人々が多く、収入は都市部に比べて格段に低いのが現状です。平均収入は、これらの高所得者層によって引き上げられるため、多くの人々が実際に手にしている金額とは乖離している可能性があります。

さらに、インフレの影響も無視できません。ベトナムでは近年、物価上昇が顕著であり、特に食料品や燃料といった生活必需品の価格高騰が家計を圧迫しています。平均収入が7.2%増加したとしても、インフレ率がそれを上回れば、実質的な購買力は低下し、生活水準の向上には繋がらない可能性があります。実際に、多くのベトナム国民は、高騰する物価に対して収入の伸びが追いつかず、生活の厳しさを訴えています。

加えて、最低限の生活を確保するために必要な金額という視点も重要です。記事にもあるように、平均月収760万VNDは、生活必需品や住居費を賄うには十分とは言えません。特に都市部では、家賃や光熱費が高く、共働きでなければ生活が困難な状況も珍しくありません。地方出身者が都市部に出稼ぎに来ても、十分な収入を得られず、貧困から抜け出せないケースも存在します。

ベトナム経済は成長を続けていますが、その恩恵が全ての人々に行き渡っているとは言えません。平均収入の増加は、経済成長の一側面を示す指標に過ぎず、格差の是正、インフレ対策、そして社会保障制度の充実といった課題解決こそが、ベトナム国民の真の幸福に繋がる道と言えるでしょう。2024年のベトナム経済を語る上で、単なる数字の羅列ではなく、その背景にある社会構造や生活実態に目を向けることが重要です。